社会福祉法人旭川荘 副理事長 仁木 壯
須崎くろしお病院にて
去る2019年6月27日、AMDAの関係者の皆様と旭川荘の小幡企画広報室長、旭川荘療育・医療センターの新井副院長と共に須崎市を訪問しました。
最初に、須崎市役所を訪問し、地震・防災課の岡本課長、森光課長補佐らにお会いして、須崎市の地理的な状況や津波対策について説明をいただきました。須崎市は海岸線が入り組んでおり、予想される津波の高さは市街地で10m、一部の漁村では20m、到達時間は、人が住んでいる所まで20分程度とのことでした。そういう状況に対して、高台への斜面に階段式避難路を整備したり、高さ25mの避難タワーが整備されており、また自主防災組織の組織率100%で、住民自身が避難所を立ち上げる仕組みも出来ており、防災意識の高さを感じました。
市役所は海抜15.8mで、発災時にはそこに災害対策本部が置かれることになっています。なお、市内の高台にある15ヶ所の一般避難所、8か所の福祉避難所を合わせても、全住民を受け入れるのは困難とのことで、近隣の市・町と連携して避難体制をとっているとのことでした。
須崎市役所で防災対策についての話を伺う
次に訪問したのは、災害拠点病院である「須崎くろしお病院」(160床)です。石見秘書室長や岡村看護部長さん、池田看護師長さんとお会いしました。くろしお病院は市街地にあり、4階が海抜14.8mで、3階まで浸水する可能性があるとのことでした。池田看護師長さんは、DMATの研修に参加しておられ、高い防災意識をお持ちでした。ただ、発災時には職員の多くが出勤できないことも想定される中で4階への迅速な避難が求められること、ヘリでの救出にも多くは期待できないことなどの課題があるということでした。
須崎くろしお病院の職員の方と
最後に、AMDAの救援活動の拠点となる避難所「多ノ郷(おおのごう)小学校」を訪問し、西村校長先生らにお会いしました。小学校は海抜50mの高台にあり、それ以外の15の避難所を支援する拠点にもなります。体育館への避難者は約300人を想定しており、それ以上避難者が増えれば、校舎に最大1000人まで受入可能とのことでした。
給水については問題がなく、電気については蓄電池やカセットガス発電機が配備されていました。食事については、400人規模の調理ができる給食室があります。
今回、須崎市の関係者の皆様と「顔の見える関係」の第一歩を踏み出すことができましたが、今後、旭川荘の派遣予定職員が、平時に須崎市を訪れ、その地域性や住民の皆さんのことを知る機会を作って行きたいと考えています。そして、須崎市における「防災対策」を肌で感じて、私共の法人や地域の防災にも活かして行ければと考えています。