2016年12月25日、台風26号(英語名:ノックテン)がルソン島の南東に位置するフィリピン・カタンドゥアネス島に最初に上陸した後、ルソン島アルバイ州を通過し、大きな爪痕を残した。
AMDAは、台風通過直後から現地協力者であるフィリピン大統領府長官首席秘書官であるメルカド氏と連絡を取り、台風26号による被災状況を注視してきた。同氏の紹介により、カタンドゥアネス州立大学と現地の状況について連絡を取るうち、被災地域で食料が不足しているという報告を受け、AMDAは台風26号がフィリピンを通過してから2週間が経過したこの時期にカタンドゥアネス島の被災地域で食糧支援物資を配布することを決定した。
1月11日にマニラに到着したAMDA調整員は、翌日、フィリピン大統領府長官首席秘書官スタッフ2名が合流し、カタンドゥアネス島へ移動。現地協力機関であるカタンドゥアネス州立大学学長、学部長と面会し、現地での活動について打ち合わせをした。
12日には食糧支援物資を購入、カタンドゥアネス州立大学のスタッフ7名、学生13名の協力により支援物資の袋詰めを行った。翌13日に台風による被災が大きかった世帯を対象に米3?、イワシ缶2つ、ビスケット、コーヒー、砂糖、卵麺各1袋を1セットとして、バト市(Municipality of Bato)の2地域、ヴィラック市(Municipality of Virac)の5地域とボランティアとして袋詰めを手伝っていただいた学生、計500世帯に配布した。
家が全壊した男性からは、「アバカ(Abaka)という植物の葉っぱを山から取ってきて、売って生計を立てていたが、台風の影響でアバカが取れないし、成長するのに時間がかかる。これからが大変。食糧支援は本当にありがたい。家を再建できるよう、頑張りたい」と言われた。被災した女性は、「今はこのような食糧支援で自分たちの生活が成り立っている。ありがとう。」と口にした。
14日には、現地団体の協力により、台風が通過したルソン島南部、アルバイ州の被災地を視察した。
国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、1月13日時点で、10名が死亡。34万軒以上がフィリピン国内で被災しており、116世帯753名は未だに住むところがない状態である。今後もAMDAは被災地の状況を見守っていく。