AMDAは2010年から毎年モンゴルにおいて、子供の目の健康を守るための事業を行ってきました。
本年度は、2016年8月31日、人類愛善会のご協力のもと、川崎医療福祉大学感覚矯正学科教授高﨑裕子先生と学生4名及び日本視能訓練士協会顧問守田好江先生が、AMDAグループ菅波茂代表、AMDAシンガポール支部長ドンラオ先生とともに、モンゴルの首都、ウランバートルから南西約500キロにあるウブルハンガイ県グチンウス村で、子どもを中心とした眼科健診を行いました。ゴビ沙漠の大草原を越えて四輪駆動車で10時間、やっと到着したグチンウス村の人口は2300人。
9月1日、小中学校の入学式の後、幼稚園から高校生、成人の眼科健診を実施しました。健診したのは、幼児、小学生の167名と成人の54名でした。登録者数は260名でしたが、健診表があったのは221名でした。健診した幼児、小学生では、外斜視4名、内斜視3名、眼振(目が揺れている子ども)1名、角膜に傷があった子ども1名がいました。6歳―10歳の小学生で、視力良好者は124名(87.9%)、視力不良者は16名(11.3%)、不明は1名(0.7%)。点眼をして屈折検査(眼鏡処方の準備)をしたのは、15名で、その中13名に眼鏡処方箋を渡しました。中高生は17名健診をし、眼鏡処方箋を渡したのは4名でした。成人はレフラクトメータ(遠視、近視、乱視の度数検査)をしただけの人が19名で、検査表に名前だけあったのが13名でした。保護者からは、目はとても大切なので、遠くからわざわざ来て健診してくださったことに感謝しているという声が聞かれました。
さらに、9月3日には、ウランバートル市内で、これまでの健診で問題があった子どもたち 19名の健診をしました。この中には2年前に健診を受けた児童2名も含まれています。家庭と学校が協力して子どもの目を守る姿勢にたいして、小さな手ごたえを感じました。
また、9月5日には、AMDAとモンゴル眼科協会主催による「子どもの眼の健康」についてのパネルディスカッションが、ビャンバスレン保健副大臣やエンフバット保健局長のご参加のもと、モンゴル保健省で開催されました。
今回のパネルディスカッションの狙いは、行政、眼科医、教育関係者、保護者が一体となって、子どもの目を守るために、子どもの眼科健診の必要性を社会に訴え、定期健診の制度化へ向けて動きだすことです。
購読者数の一番多い新聞に今回の取り組みのことを取り上げてもらい、広大な土地に住む人たちに目の大切さを伝えました。
今回のパネルディスカッションで、モンゴル保健省は、就学前眼科健診を約束し、眼科協会に家庭医と連携をとりながら、眼科健診の規定を策定するよう指示しました。
眼科協会会長、ブルガン医師は、日本の支援者とAMDAに対しての感謝とともに、これまでAMDAと一丸となってモンゴルの子どもの目の健康のために尽力できたことを自らの喜びとしていると述べました。
AMDAもこれまでの事業が、モンゴル側の熱意と互いの深い尊敬と信頼のパートナーシップの下に続いていることを実感しています。
GPSP支援局長・難波妙