AMDAでは台風30号被災者に対し支援を継続して行っている。現地協力機関であるフィリピンレイテ島のレイテ医師会と合同で、定期的に無料巡回診療の実施を3月から実施しており、8月と9月にも一回ずつ、無料巡回診療を行った。
2014年8月17日には、タクロバン市北部、海岸線沿いの68地区(バランガイ)において無料巡回診療を行った。2600人が住むこの町は、“建物禁止区域”にも関わらず、土地不足もあってか、家を失った人が元の場所に簡素な作りで非コンクリート製の家を作り始めている。
この医療支援で、231名(内、成人患者107名、小児患者124名)を診察することができた。成人患者における主な症状は、高血圧、咳、風邪、筋肉痛、関節炎であった。小児患者では咳、風邪症状が多く見られた。また、約200人の子供たちに食糧支援としてパンとフルーツジュース、また衛生面での支援としてタオル、石鹸、歯ブラシが入った衛生キットが配布された。
支援を受けた患者さんたちは、とても喜んでおり、無料診療と無料で配布される薬がありがたいと言っておられた。
2014年9月4日には、AMDAが協力するレイテ医師会の無料巡回診療がタクロバン市の中心部から10キロほど北部に位置するパラノッグ地区(バランガイ)で行われた。4723人が暮らすこの地区は、台風30号により浸水し、簡素な家は破壊された。地区内の丘は地すべりが起き、野菜農場は浸水した。
レイテ医師会の医師20人、研修医5人、地区のヘルスワーカー27人、秘書4人がこの巡回診療に参加し、一日で707名(内、成人患者380名、小児患者327名)を診る事が出来た。
成人患者に多かったのは、高血圧、上気道感染、頭痛で、小児患者に多かったのは、上気道感染と栄養不良であった。
無料巡回診療では、タオル、石鹸、歯ブラシ、除菌用ローションを含む100衛生用品セットを子供たちに配布した。
受け取った子供達だけでなく親たちも、とてもうれしそうにしていた。また、栄養素の高いミルク、野菜、鶏肉が入ったお粥を200人の子供たちに配ることができた。
地区に住む住民からは、無料巡回診療とそれを支援するレイテ医師会とAMDAに対する感謝の言葉が聞かれた。