インド・ビハール州ブッダガヤで母子保健事業を実施しているAMDAピースクリニック(APC)は2021年の10月、11月、12月も継続して妊産婦世帯を対象に食糧支援を実施しました。新型コロナウイルス感染症拡大によって行われた都市封鎖や外出禁止令の中、職を失う人々が増加し、妊産婦さんの栄養不足が課題となりました。その為、食糧支援は9月から月2回に増やし、毎回約60人の妊婦さんとAPC元職員が運営する「お年寄りの家」に日常生活で良く使うレンズ豆1.5kg、ひよこ豆500g、ジャガイモ1kg、玉ねぎ1kg、塩500g、調理油500ml、小麦5kg(小麦は政府からの支援を受けていない方のみ)の食糧支援を行っています。今回は、食糧支援を受けている4人のお母さんより話を伺いました。
カルナ デヴィさん(33歳で4児の母親)
主人はオートリキシャ(三輪タクシー)の運転手さんとして一家の生計を立ています。しかし、コロナ禍の中、ブッダガヤを訪れる観光客が少ないため、オートリキシャの需要が減っています。今は都市封鎖が解除された為、現地の人々が移動の為にオートリキシャを使用するようになり、封鎖中に比べると収入が少し増えましたが、家族のニーズを満たすことはできていない状況です。こんな状況の中、AMDAからの食糧支援をいただけることはありがたく思っています。また、近いうちに政府が都市封鎖をすると噂を聞きました。今後世界がどうなっていくのかとても不安です。義理の妹も婦人科系の相談のためAPCを訪れています。何か問題があればこちらの医師とすぐに相談できるのでとても助かってます。
サラダ デヴィさん(25歳で1児の母、妊娠中)
主人は現在無職、ビハール州でなかなか仕事が見つからないので1ヵ月前に仕事を探しに別の州に行っています。私は妊娠中で上の子供と二人で過ごしていますが、収入もないので不安が大きいです。今まで、2回流産を経験し、医師からはお腹の赤ちゃんが栄養不足の為、とても弱いと言われています。また、都市封鎖されるとうわさがあり、もうそうなった場合はどのように生きていくのか見当もつきません。私はおなかの赤ちゃんを失いたくないです。涙。AMDAは我々のような貧しい人々の為に支援をしていただき本当にうれしいです。今は、AMDAは唯一の希望です。
ロヒニ クマリさん(現在8か月の妊婦)
私の姉が妊娠中にAPCでお世話になっていました。APCの対応はとても良かったので家族は安心していました。そのため、私が妊娠してすぐに、家族が私を産婦人科医のリタ医師に診ていただきたいとAPCに連れてきました。私は18歳で妊娠しましたが、リタ医師の健診のおかげで、お腹の赤ちゃんは順調に育っています。
APCはブッダガヤだけではなく、マスティプールとピパラパティ地域に住む妊婦さんの健診を無料でして下さるのでとても助かります。妊娠中に私立のクリニックに高いお金を払って診てもらうことができない貧しい人々はAPCで健診を受けられ、母子ともども元気に出産できることはとてもうれしいことです。リタ医師はやさしく、日本の皆さんには心から感謝しています。
アスミン カテゥンさん(1児の母親)
私は妊娠中にAPC で定期健診を受けていました。男の子を出産し、6か月後に子供の肛門に問題があることが分かり、それ以来、バナラシの国立病院で治療を受けています。国立病院では治療は無料ですが、治療に必要な薬などは自分で買わないといけないのです。また、付き添いは一人だけなので、他の家族は病院で過ごせず、病院の近くに部屋を借りています。そのお金も別にかかります。息子は、現在5歳になりますが、治療を受けてだいぶ良くなってきています。医師によるとあと6か月間治療を受ける必要があるそうです。主人は日雇い仕事しているので、毎日収入を得ないと生活はできないです。ブッダガヤに戻った時はAPCの食糧支援の日と合えば、食糧をいただいております。しかし、息子の治療費として何かご協力いただければ助かります。