災害への備えについてネパールのAdrasha Vidya Mandir 学校の生徒を対象に講義 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

災害への備えについてネパールのAdrasha Vidya Mandir 学校の生徒を対象に講義

ネパール担当 アルチャナ シュレスタ ジョシ

2015年、ネパールは大きな地震に襲われ甚大な被害を受けました。地震で多くの学校施設が全半壊しました。ただし、地震が発生したのは学校が休みだった土曜日の昼間だった為、学校内での人的被害はありませんでした。

ネパールの教育機関は、地震前の防災意識の低さを反省し、防災教育の必要性を強く認識し、学校内で防災訓練を行うようになりました。しかし、2019年末からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、現在は外出などの行動制限措置(ロックダウン)が実施され、授業はオンライン中心で行っています。したがって、集団での防災訓練は未だ実施されていません。しかし、災害はいつ起きてもおかしくないと考えたAdrasha Vidya Mandir 学校のスジタ校長から一通のメールが届きました。メールの内容は「小学6年生、中学1・2年生の生徒を対象に地震の備えについてお話をしてほしい」とのことでした。私は、日本では小学校から社会人までを対象にネパール地震の際に現地でAMDAの活動を調整した経験について何度も講演をしたことがあります。しかし、地震の備えについてネパールの子ども達に話をしたことがない私は、戸惑いを感じました。若者に自分の経験を伝え、彼らが学んで考えてもらうことは今後の彼らの成長につながると思っていましたので、今回の依頼を快く引き受けることにしました。

当日はAdrasha Vidya Mandirのスジタ校長はじめ、教員、生徒、保護者を含む220人がZOOMによるオンライン授業に参加してくれました。授業の内容はAMDAの相互扶助の理念に基づく活動について、そして地震への備えについてでした。地震に対応できる知恵を身に付けてもらうために以下のことを伝えました。

  1. 平時から通学路の安全を確認しておくこと
  2. 家の中の危険なところを確認し、直しておくこと
  3. 家族と話し合って地震の時にすることを決めておくこと
  4. 避難する為の持ち出し物を準備しておくこと
  5. 家の中で最低3日間分の食料品を準備しておくこと
  6. その他にラジオ、懐中電灯、薬などの自分や家族にとって必要品の常備
  7. ネパールは正式な避難所はないため、災害の際に避難できる場所を確認しておくこと
  8. 周りに助けが必要な人がいるかどうか把握しておく。
  9. 必要に応じて人を助けること。
  10. 平時から地域住民と仲良くしておくこと等々。


講演後、スジタ校長からは「ネパール地震の時パニックになって大けがをしたり、命を落としたりした方々が多くいました。今日の講義で事前の備えをきちんとしておけば、災害が起きた時にパニックにならずにスムーズに行動ができることが分かったので定期的に防災訓練や防災リテラシーに力を入れていきたいと思います。今後も引き続き災害への備えについて講演をしていただきたいと思います。」とコメントをいただきました。講演を聞いてくださった教員からは「ネパール地震の後は学校では防災教育や防災訓練は必修科目になり、中学1・2年生は地震の事前準備、地震の時の対応、地震後の行動について学んでいます。本日の講義は彼らにとって復習する良い機会になったと思います。また、小学校6年生は初めて災害への備えについて学ぶことができたと思います」と話をして下さいました。生徒達からは、「今日の講義を聞いて事前に家族会議をして災害への備えをしておいた方が良いと聞いたので、今後、家族会議をするようにしたいと思います」、また別の生徒は「平時からの準備の必要性についてよく理解できました」。「相互扶助の大事さが分かった。私は今まで『Help each other』 はできてなかったが、これからはしたいと思う」などの感想をいただきました。

また、スジタ校長から「ネパールには公式な避難所がなく、地震が起きた時に地域住民に学内の広場を避難場所として使っていただきました。今後は学校を公式な避難所として使えるように地域住民や自治体と話し合う予定です。その際、AMDAのご指導もお願いしたい」と話をされました。