南海トラフによる地震と津波は必ず来る。近いうちに起きる確率は相当に高いと考えている。災害発生後2週間は現地と連絡が取れない。大混乱状況になっても、「医療チームが高知県と徳島県の予定された10カ所の避難所で迅速に確実に医療活動を実施できる体制構築」が目標である。
7月9日に岡山国際交流センターで開催された第3回AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム調整会議には70の団体、270名が参加。そのプログラムを紹介したい。
第一部は立谷秀清・福島県相馬市長による基調講演。そして海外支援ネットワークとしてAMDA韓国支部、AMDAシンガポール支部、NGO台湾ルーツそして台湾国際衛生行動隊が南海トラフ発生時の支援を表明した。
第二部は熊本地震から得られた教訓と「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」の進捗状況の紹介。さらに、自治体避難所と医療チーム派遣医療機関とのマッチングが発表された。輸送と通信実施報告や自衛隊飛行部隊との連携報告など。第三部は「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」の合同対策本部体制、原子力災害による被ばく対策についての発表だった。
自治体避難所と医療チーム派遣医療機関とのマッチング発表については「医療チーム派遣医療機関と避難所運営をする自治体との事前交流」が大きな特徴の一つである。単に事前準備だけではない。地震と津波による大災害の中で生き抜く被災者にとって、顔なじみの医療チームを迎える時に「見放されていない」という気持ちと新たな希望が生じる。
一方、南海トラフによる地震と津波の被害は広範囲に長期に続く。国内外の医療チームのみならず募金・物資の支援を確保できるのか。ここが肝心である。物流は長期間ストップする。国内は混乱の極みになる。国際社会との連携が命綱となる。その最大の方法は多言語対応ホームページ。ホームページ上で、接点のなかった多くの善意の個人や団体とつながり、迅速にして確実な受け入れ態勢をどう構築するかが勝負だ。加えて、海外支援拠点のネットワーク形成も重要である。現時点の韓国、台湾そしてシンガポールを基軸として拡充を急ぎたい。
第3回調整会議により、南海トラフによる地震と津波が発生しても、約束の基幹避難所10カ所のうち7割くらいの対応が可能となった。16年度中にさらに完成度をあげたい。今後共に皆様方のご理解とご支援をいただければ望外の喜びである。
最後に、第3回調整会議に参加した70団体のうち、医療機関、医療関連教育組織並びに研究機関を紹介したい。本当に「感謝の一言」に尽きる。この紙面を借りてあらためてお礼を申し上げたい。(50音順)
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