日本とトルコ 時代を越えた友情について – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

日本とトルコ 時代を越えた友情について

あけましておめでとうございます。

緊急救援など業務の関係で、年末年始は家族と離れ海外に滞在していることが多いのですが、2015年から2016年にかけての年末年始は、数年ぶりに家族とともに過ごすことができました。昨年の出来事や、今年の抱負などをお互いに話し合い、短いながらも充実したひとときでした。
AMDAの定義する平和には、【今日の家族の生活と明日の家族の希望】とあります。つまり、平和とは状況のことで、生活は『食』と『健康』、希望とは『教育』であると定義づけています。年末年始を家族と過ごすことで、私自身が平和を再認識できた瞬間でもありました。

さて、話は変わりますが、2016年最初に見た映画は、「海難1985」です(下の写真は映画のパンフレットなどです)。

内容は、1890年に和歌山県串本町沖合で発生した、オスマントルコの使節団を乗せた軍艦「エル・トゥールル号の遭難事故」と、その95年後の1985年、イラン=イラク戦争で戦禍の只中にあったテヘランにトルコ政府が単独で救援の飛行機を飛ばし、取り残された在留邦人をイラン国外へ脱出させた「イラン・テヘラン在留邦人救出」というふたつの史実を題材とした、日本とトルコの友好を描いたものです。明治の初め、串本町民がエル・トゥールル号の乗組員を献身的に救助した話は、今でもトルコ国内の教科書で紹介されるほど有名な史実として知られています。また毎年串本町では、両国の関係者を招いて慰霊祭が続けられています。

映画では1985年の日本人救出を決める際に、トルコ大使館員が「遠い国から来て困っている人がいます。我々が助けなければ誰が助けるのですか!」「我々の祖先であるトルコの英雄達が、遠い異国の地の善意で無事祖国へ帰ることができた。今度は私達の番だ!」と話すシーンがあります。私はこのセリフを聞いて、トルコの人たちの真心と善意に深く感動を覚えました。また、我々の祖先である小さい島の村の人たちの行動に清々しさを感じました。それに、人というものは、本心は良いもの、優しいものだとも教えられました。さらに映画で描かれていた両国の友情は、AMDAの提唱する「相互扶助〜困ったときはお互いさま」と、よく似ているようにも感じました。

そして、私もトルコの人たちへ心からの感謝の意を述べる旅に出ようと思います。

現在も世界では至る所で戦争やテロ、自然災害など様々な出来事が起き、その様相はますます混迷を深めています。相互扶助の精神と謙虚さ、感謝の気持ちを常に持ち、少しでも、世の中の人に役立つように真心を持って、活動していきたいと思いますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

看護師 柴田 幸江