南海トラフ対応徳島県プログラム – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

南海トラフ対応徳島県プログラム

先月30日。岡山国際交流センター国際会議場にて、岡山県立大学大学院公開講座として、南海トラフ対応を考えると題し、講義とシンポジウムを行った。公開講座終了後に総社市、香川県丸亀市そしてAMDAの三者で災害時応援協定を締結した。南海トラフ巨大地震が発生した時に西日本太平洋沿岸の名古屋や大阪などの大都市が大被害を受ける。そこに東日本と世界からの支援が集中する。結果として四国は孤立する。しかし、徳島県と高知県も甚大な被害を受ける。

岡山県に本部のあるAMDAグループは両県を支援の対象と想定している。そして四国の交通の要所である丸亀市がロジスティック拠点になる。四国山脈越えにより両県を支援する。南海トラフ対応徳島県プログラムの要旨として、シンポジウムの内容を簡単に紹介したい。
岡山県立大学副理事長阿部淳二氏より、県立大学としての南海トラフ対応の検討の開始の報告。
丸亀市にある瀬戸健診クリニックの麻田ヒデミ所長は、検査ができる診療車輛活用の災害時の有効性を説明した。
徳島県吉野川市でさくら診療所などの医療や福祉施設を包括的に経営する吉田修理事長は、災害対応の後方支援拠点について提言。
徳島県美馬市で、地上ヘリポートを備えたホウエツ病院を経営する芳越会の林秀樹理事長は、DMAT指定病院として、津波被害の少ない地域の特性を生かした具体的且つ先駆的活動を紹介。
徳島県海部郡美波町由岐支所産業振興課の浜大吾郎氏は、町にある日本最古の津波碑に触れ、先祖たちが厳しい災害を乗り越えて続いてきた町の営みを「事前復興まちづくり」という新しいコンセプトで紹介した。
総社市の片岡聡一市長からは、平時からNPOや自治体間で連携協定を結んでおけば、大災害時に多くの人を助けることにつながるとの提言。
丸亀市の梶正治市長からは、自主防災会が防災功労者内閣総理大臣表彰に選ばれた実績を紹介し、南海トラフ発生時には総社市と連携してロジスティクス拠点として支援活動を行うことを発表。
引き続き、これらの講師に美波町消防防災課長の橋本一晴氏を加えたシンポジウムがあり、個々の志の高いコメントが会場を熱気に包んだ。

私からは、南海トラフ対応では海外との連携が生命線となることを提起した。
生産基地の被災に加えて物流がストップ。人的物的支援そして募金などが徹底的に不足する。
海外とは日本海沿岸の都市とのハブ空港となっている韓国と東日本大震災の時に一番支援してくれた台湾。
加えて、海外進出している日本企業や在外邦人である。
海外からの医療チーム受け入れ準備は在日外国人のみならず日本人被災者にとっても心強い。
そして、未だに復興途上の東日本被災地と重なれば、南海トラフ後の復興は強烈なインフレを伴うことも視野に入れておくべきである。

相互扶助は世界の常識である。
「開かれた相互扶助」とは自分の所属する共同体を超えて助け合うことである。
1984年に設立したAMDAの目的は「多様性の共存」へのコンセプト形成だった。
30年間の活動の結論が「開かれた相互扶助」である。世界平和パートナーシップ(GPSP)構想とは「開かれた相互扶助」を世界に普及することである。
多様性に富んだアジアの中で、その正当性を検証するためにマレーシアの首都クアランプールに事務所を開設した。
この事務所の活動目的の一つに南海トラフ対応がある。
海外との連携を推進・強化することである。南海トラフ対応を視点に入れたGPSP構想具現化に対して、AMDAへのご理解とご支援をお願いできれば幸いである。