パキスタン「家庭健康教育プログラム」 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

パキスタン「家庭健康教育プログラム」


AMDAが継続的に活動しているパキスタンですが、いったいどんな国でしょうか?
私がパキスタンに渡航するというと私の友達の中には、“大丈夫?本当に気をつけて帰ってきてね。”と本当に心配そうに送り出してくれます。確かに、パキスタン滞在中、1人で外出をしたりすることはありません。日本の安全とは違います。しかし、危険な人々ばかりが住んでいる野蛮な国ではありません。日本のニュースを騒がす事件も時々ありますが、パキスタンの人々はそのような環境の下、生活しています。農村部では、レンガで家を建て、井戸から水を引き、鶏、ヤギ、バッファロー、ロバ、ラクダなどを飼い、農作物を売ることで生計を立てている人が多いです。カラチなどの都市部にはショッピングモールやレストランがあり、多くのビジネスで栄えています。ただし、日本で普通に使っているきれいな水、トイレ、石鹸、電気などはパキスタンでは貴重で、お湯でシャワーを浴びることが出来る人はほとんどいません。


健康に関する知識を広めることで地域の人々の健康を改善できたら、ポリオを発症する子供がいなくなれば、という思いで始めたのがパキスタン家庭健康教育プログラムです。もともとポリオ撲滅活動に力を入れていた茅ヶ崎中央ロータリークラブ、現地協力団体であるNRSP、AMDAの3者が協力し、2014年6月から3年半継続して行います(準備期間を含む)。支援地域は、2010年に発生したパキスタン大洪水でAMDAが支援を行ったカラチ郊外の農村部であるタッタ地域。未婚女性を対象に予防接種、応急処置、衛生観念の教育、妊産婦教育、家族計画について健康教育を行うことを目的としています。現地の調査、教科書作成、健康教育をする先生への指導などの準備
を終え、現在は未婚女性への教育が始まりました。このプログラムで地域の人たちの健康が改善すると、大人はより長い時間田畑で働けるようになります。結果、地元の人たちが豊かになり、栄養素の高い食事を取れたり、トイレなどの衛生施設を設置できるようになるでしょう。また、健康教育を通して、地元の人々が教育の与える影響力と大切さに気づくと、教育に対する意識も変わるかもしれません。さらには、成功モデルとして他の地域に広がり、より多くの地域に住む人々の生活が向上していくかもしれません。結果が出るには長い時間を要しますが、多くの波及効果が期待できます。大きなポテンシャルを持つパキスタン「家庭健康教育プログラム」が成功し、タッタ地域に住む人々の健康が改善され生活が向上するよう、協力団体と連携し、現地の人々を尊重し、プログラムを進めて行きます。今後とも応援いただけると幸いです。

GPSP フィリピン担当部長
岩本 智子