新型コロナウイルス対応inインド(2020/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

新型コロナウイルス対応inインド(2020/10発行ジャーナル秋号)

インド担当 岩尾 智子

インド国内で初の感染者が確認されたのは、新年早々のことでした。今年3月24日から急遽全面的な外出規制が布かれ、工場をはじめ、オフィス、公共の交通機関などが操業停止となり、日雇い労働者をはじめ、大勢の人が生活の術を失いました。6月末、インド政府が正式に国内の移動を可能にする策を講じた結果、国内では再び人々の大移動が始まりました。

 

AMDAインド支部の活動

1.労働者の家族支援


外出規制により交通機関も停止し、都市部で働いていた日雇い労働者は徒歩で故郷を目指しました。その中には子連れの家族や妊婦の姿もありました。移動中の2歳半の子どもを連れた労働者家族から助けを求められたAMDAインド支部事務局長ミナクシ医師は食糧、調理用ガスコンロなどを用意し、支部の事務所を生活スペースとして3か月間提供しました。

2.マスクと消毒液の配布


政府が外出規制を緩和し、飲食店や宗教施設が操業を再開し始めた6月初旬、感染防止用マスクの需要が高まりました。感染者数が増加傾向にある中で、職場に戻る人の数も増えている状況も鑑みAMDAインド支部はAMDA本部と協力し、マスク、消毒液やパンフレットなどを配り、感染症予防に対する啓発活動を行いました。


配布したマスクは洗って再利用できるコットン生地を利用したもので、南インドの農村地域ニーラギリ県の女性たちによる手作りです。同支部がこのマスクを購入することで農村地域に住む女性たちの収入になるため、生活支援にも繋がりました。

物資配布先:市場や建設現場労働者、スラム街の住人、公共施設の警備員、市街地の清掃スタッフ、ショッピングモールの買い物客、ガソリンスタンド、警察署、福祉団体『Sandiksha』の入居者

AMDAピースクリニックの活動


インド東部ビハール州ブッダガヤで妊産婦の支援を行っているAMDAピースクリニック。政府の外出規制が緩和された今年6月に活動を再開し、妊産婦の置かれている状況について聞き取り調査を行った結果、食糧にも困るほど生活に困窮している妊産婦が多くいることが分かりました。。


6月17日以降、毎週火曜日に食糧支援を行っています。食糧を受け取った妊婦は、「私は妊娠5か月です。夫と一緒に村に住んでいた間、妊産婦検診を受けていませんでした。ブッダガヤの実家に帰った時、母からAMDAを教えてもらいました。私が初めてAMDAピースクリニックを訪れたとき、スタッフのバビータさんから、まず、AMDAピースクリニックに協力いただいているバルマ医師の診療所に行くよう言われました。診療所では健康診断、血液検査、尿検査を行い、薬をもらいました。AMDAの支援によりすべて無料で受けられ、さらに食糧も無料で提供してくれます。ここに住んでいる人の多くは助けを求めています。このような支援を受けることができ、信じられない気持ちです。私の母はブッダガヤでテントを張って野菜を売っていますが、外出規制後、顧客はほとんど戻ってきませんでした。私のように苦しい生活を送る人に支援の手を差し伸べてくれるAMDAピースクリニックの患者であることを幸せに思います。」と話しました。