2017年度モンゴル事業(2017/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2017年度モンゴル事業(2017/10発行ジャーナル秋号)

ガンダン寺院で「平和祈願祭」


モンゴル仏教総本山ガンダン寺院での
平和祈願祭にて

9月3日、モンゴル仏教総本山ガンダン寺院でGPSP医療と魂のプログラム「平和祈願祭」がおこなわれました。モンゴルでは、ハルハ河戦争(ノモンハン事件)で多くの方々の尊い命が失われました。二度とこのような悲惨な歴史が繰り返されないよう、2008年より毎年平和祈願祭を開催し、今年で10年目となります。今年は、ガンダン寺院と宗教法人大本の方々に加え、AMDAボランティアの矢部ご夫妻がご参加くださいました。

一人でも多くの人たちのためにそれぞれの立場で力を尽くしていくことを参加者一同、心に誓いました。

【GPSP(世界平和パートナーシップ)医療と魂のプログラム】:第二次世界大戦の犠牲者には、宗教者による慰霊祭を、そしてその家族にはAMDAの医療サービスを提供する、宗教者とAMDAの合同事業です。なお、宗教者の皆さまは自費でこのプログラムにご参加いただいております。

子供の眼科健診、保健省が制度化を発表


健診を行う高崎先生

AMDAは、モンゴルで2008年以来、子どもの目の健康を守るために、首都ウランバートル市内や郊外での眼科健診を行ってきました。また同時に就学前子どもの眼科検診を制度化することの重要性を関係各方面に訴え続けてきました。

本年も人類愛善会モンゴルセンターのご協力のもと、9月1日にウブルハンガイ県グチンウス村(ウランバートルから車で11時間)において川崎医療福祉大学感覚矯正学科の高裕子先生を中心に眼科健診が行われました。今年は、113名(5〜17歳の子ども78名、成人は35名)が健診をうけ、そのうち斜視は5名、病院への紹介が必要であった人は7名いました。

9月5日には、保健大臣に面会し、菅波代表と両国の事業関係者でAMDAがこれまで子どもの眼科健診の制度化を目指して活動を続けてきたことなどを報告しました。

その後の保健省でのミーティングでは、高先生から、過去3年間のAMDAの検診結果として、弱視、乱視の割合が世界の平均値より高いこと、めがねをかければ解決できる子も半分はいることなどが示されました。そして菅波代表からは、日本の学校健診の取り組みを活かすことが提案されました。その10日後の9月15日には、保健省において記者会見が行われ、正式に子供の目の日が制定され検診が行われることが全国に発表されました。

佐藤拓史医師が医療セミナー開催


医療機器の説明をする佐藤先生

AMDAは、協力協定を結んでいるウランバートルエマージェンシーサービスとモンゴル国立医科大学それぞれの団体を会場で、前者では救急医療について9月9日より、後者では内視鏡について11日より、各2日間計4日間にわたるセミナーを実施しました。

講師は、救急の外傷の診断方法や初期治療と内視鏡を専門とする佐藤拓史医師(東亜大学医療学部教授、AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム運営委員会副委員長)。9日の救急医療セミナーには、ウランバートル市保健局所属の20の医療機関から幹部やリスクマネージメントチームを中心に約100名の救急医が参加しました。内視鏡のセミナーにはこれからのモンゴルの内視鏡治療を担う医師達が参加しました。両団体より来年の継続を強く要望され、AMDAは今後も佐藤医師によるセミナーを実施することを約束しました。