ハイチ・ハリケーン被災者に対する緊急医療支援活動(2016/12発行ダイジェストNo.47) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ハイチ・ハリケーン被災者に対する緊急医療支援活動(2016/12発行ダイジェストNo.47)


現地時間10月4日、大型ハリケーン「マシュ―」がハイチに上陸し、最大風速約65m/秒を記録しました。死者546人、行方不明158人、避難者は175,509人(WHO10月28日発表)。ハイチは2010年1月に死者22万人を超す大地震に見舞われており、復興途上の中でさらなるダメージを負いました。

AMDAは、ハイチ支部とともに緊急医療支援活動を実施を決定。NPO法人TMATとの合同チームとして10月8日に第1次、14日に第2次チームを派遣しました。

被害の大きかったハイチ西部ジェレミー市でのWHO主催調整会議に出席し、AMDAチームはさらに西に離れたモロン市のモロン病院を担当することになりました。

モロン病院は、コレラ患者はが増え続けており、感染対策も十分に取られていない状況でした。そこでAMDAチームは診療に加えコレラ感染予防の教育を行い、また自発的に病院を清掃していた地元の方ら6人を雇用し、衛生面の改善を目指しました。


被害を受けた町の様子


手当をするTMAT医師ら

被災地では日常的にな食糧不足の傾向があり、栄養不足からによりコレラに対する抵抗力が低いため、1日70〜80人分の野菜スープをつくり患者や家族に配布しました。皆さま、とても喜んで召し上がりました。

AMDAメンバーは27日までに全員帰国。その後もハイチ支部メンバーが中心となり、モロン病院からレメア市の病院に移送された移った方々への食糧援助をはじめ、マフラン市で新たに立ち上がるCTC(コレラ治療センター)にて衛生面での支援を行っています。AMDA本部は今後もハイチ支部と連絡を取りながら、今後の状況を注視していきます。


避難者に対し診察する佐藤医師

これまでの派遣者数

第一次派遣/TMAT合同チーム 医師1人、看護師1人、調整員1人
第二次派遣 医師1人、看護師1人、調整員1人
AMDAハイチ支部 医師2人、看護師2人
ハイチ現地雇用 清掃員6人、調理員1人

■AMDAからの派遣
松永健太郎:調整員/AMDA本部職員(第一次派遣10/8〜10/27)
佐藤拓史:医師(第二次派遣10/14〜10/27)
押谷晴美:看護師(第二次派遣10/14〜10/22)
森田佳奈子:調整員(第二次派遣10/14〜10/22)

第一次派遣 松永調整員の声


10月8日AMDA,TMAT合同チームで現地入り。9日、被害の大きかった西部のジェレミーへ。西へ向かうにつれ、被害が大きくなっているのがわかる。途中の山道で避難所に立ち寄ると、怪我をして、その後何の処置もしていない人を数名見かけた。周りに医療機関はなく、この辺で生活している人たちは小さな病気、怪我が死につながるのではないかと思った。

第2次派遣チーム到着後、AMDAはジェレミーよりさらに十数キロ西のモロン市というところの病院で活動することになった。


AMDAの行った食糧支援

そこでCTC(コレラ治療センター)の立ち上げと感染予防、食事支援により栄養状態の改善に努めた。日に日に、コレラに感染した患者さんは増えていったが、AMDAスタッフ、病院スタッフなどサポートする側が感染することはなかったのは、みんなで予防に取り組んだ結果だろう。ハイチは元々衛生環境が悪く、現地の人たちの感染予防に対する意識を上げるのは難しかったがみんな徐々に対応してくれた。

言葉の壁や文化の違いに苦労したがAMDAハイチスタッフと協力し、最終的にはコミュニケーションを上手くとれた。多くの苦労はあったがAMDAの活動、特に診療に加えて、感染予防・栄養状態の改善なども行ったことが評価されWHO、保健省と活動団体との調整会議でも良いモデルケースとして取り上げられていたことは誇らしかった。