- 概要
- 災害熊本地震発生〜医療チーム派遣
- 「AMDA南海トラフ災害対応プラットホーム」参加自治体テント村AMDA救護室
- 災害鍼灸プログラム
- 特別養護老人ホーム「シルバーピアさくら樹」
- 岡山からの応援メッセージを益城町避難所に届けました
概要
4月15日益城町建物被害の様子
4月14日午後9時26分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード6.5の大地震(前震)が発生、熊本県内に甚大な被害をもたらしました。続いて28時間後の16日午前1時25分、前震とほぼ同じ場所を震源とする本震(マグニチュード7・3)が襲い、建物の崩壊や土砂崩れによる被害が拡大しました。
震度7クラスの大地震が短期間に2度も重なったのは、国内では観測史上初めてのケースです。死者は49人、行方不明1人、負傷者1,684人。建物被害は2万6781棟と東日本大震災、阪神淡路大震災に次ぐ規模となりました。(消防庁5月24日現在)
広安小学校の保健室で活動する
第一次、第二次派遣チーム
このような被害状況を受け、AMDAは連携協定を結んでいる岡山県総社市とともに、直ちに被災地への支援を決定。前震発生の翌日15日夜には第1次医療チームが避難所の広安小学校(熊本県益城町)に到着。先に益城町に入っていたAMDA難波調整員(益城町出身)とともに、ただちに避難所となっていた教室にいる避難者の回診を行いました。そして16日には広安小学校保健室を救護所として開設し16日朝から診療にあたりました。断続的に続く余震に住民らは不安を募らせ「建物の中は怖い」と車中泊をする避難民で広安小グラウンドはあふれました。
診療だけでなく、理学療法士や介護福祉士、鍼灸師も加わりました。介護度の高い高齢者の部屋には災害時用段ボールベッドを、また避難所トイレには簡易洋式トイレ「ラップポン」を整えました。長引く避難所生活により慢性疲労を訴える避難者にとって、鍼灸治療は心身共に落ち着ける時間となりました。
AMDAは6月1日までにのべ127人の派遣メンバーとともに支援活動を行いました。地震から1か月が経過した現在は、熊本在住の鍼灸師による鍼灸治療を継続して行っています。
熊本地震発生〜医療チーム派遣
総社市役所での出発式
4月14日の前震発生を受けて、AMDAは連携協定を結んでいる総社市とともに、直ちに合同チームの派遣を決定。翌15日の正午には総社市役所を出発しました。
同日夜に熊本県益城町に到着したAMDAと総社市の合同チームは、避難所になっていた広安小学校に到着後ただちに教室にいる避難者を回診。広安小学校内は、コンクリート製の渡り廊下がひび割れていたり、建物への被害が甚大でした。本震を受けながらも、16日朝には広安小学校にAMDA診療所を開設し、診療を開始。
急性期には医師と看護師は24時間体制で、余震に見舞われながらも被災者に対し診療を行いました。
地元の医療機関や薬局の再開に伴って、5月5日、広安小の救護所は看護師が常駐する救護室とし、救護室も14日をもって終了しました。
「AMDA南海トラフ災害対応プラットホーム」参加自治体テント村AMDA救護室
健康相談を行うAMDA看護師
AMDAと連携協定を結んでいる総社市が中心となり、同市の観光大使である登山家の野口健氏が寄贈したテントを4月24日、「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」参加自治体である高知県・高知市・須崎市・黒潮町・徳島県・美波町・牟岐町・海陽町・総社市・丸亀市と今回新たに自治体連携に加わった備前市がが職員を派遣し、熊本県益城町総合運動公園に「テント村」を開設。最多156世帯571人がテント村で生活を送ることになりました。そこでAMDAはテント村に看護師が常駐する救護室を開室しました。
看護師は救護室での健康相談のほか、要観察者への訪問も行いました。5月には熱中症対策として、風通しの良いタープも設置されました。
AMDA看護師は総社市のチーム、日本赤十字社医療チーム、保健師と情報共有を行い、テント村に避難する人々の健康管理を協力して行いました。
管理・運営は総社市職員が実施していましたが、梅雨期を前に浸水の恐れなどを考慮し、5月末で閉鎖しました。
災害鍼灸プログラム
熊本在住の吉井鍼灸師
AMDA医療チームは、長引く避難所生活で体の痛みや心身の不調などの症状を訴える人が増加しているため、4月25日から鍼灸活動をAMDA救護所内にて開始しました。テント村救護室でも鍼灸活動を行い、また「シルバーピアさくら樹」でも不定期に鍼灸活動を行いました。
頭痛や肩こり、不眠などに悩む人も多く、利用者さんからは、症状改善の喜びの声が届きました。
また、鍼灸治療はプライバシーの守られた独立したスペースで施術を行うため、避難者にとって癒しの時間であり、本音を話すことができます。
鍼灸治療はAMDAからの派遣鍼灸師と、熊本在住の6人の鍼灸師によって活動を行っていました。5月26日からは熊本在住鍼灸師によって週3日間の施術となりました。熊本在住鍼灸師は、家の片づけや仕事を両立させながら、引き続き避難者の心身のケアにあたっています。
特別養護老人ホーム「シルバーピアさくら樹」
広安小学校に避難していた、日常生活に手助けを必要とする要介護者は一般の避難スペースである教室から、AMDA救護所の保健室に近い一階の特別活動室に移動してもらいました。床で寝ることが体調の悪化につながる恐れのある人にはは「段ボールベッド」を導入しました。加えてAMDAから派遣した介護福祉士、理学療法士が生活支援、リハビリ支援を行いました。ADL(日常生活動作)を維持するため、「シルバーピアさくら樹」への移動を支援しました。この施設は、AMDAと広安小学校に避難していた高齢者の入浴支援を共同で行った経緯があり、益城町の公式な福祉避難所として認められました。
5月4日からは岡山県老人保健施設協会とAMDAは合同で介護福祉士を福祉避難所への派遣を開始。5月26日からは、岡山県老人福祉施設協議会からもご協力いただき、要介護避難者への介護支援を5月末まで継続して行いました。岡山県老人保健施設協会からは延べ13人、岡山県老人福祉施設協議会からは3人の介護福祉士にご協力いただきました。現地では避難者の入浴介助、トイレ補助、健康管理などに加え、散歩やクイズ大会も開催するなど心身のケアも行いました。
岡山からの応援メッセージを益城町避難所に届けました
AMDAはドラッグストアのザグザグ株式会社と連携協定を結んでいます。昨年のネパール中部地震に続き熊本地震でも協力いただきました。
5月14、15日にコンベックス岡山で開かれた同社ザグザグ主催のザグフェス2016で、AMDA中学高校生会とボランティアスタッフが熊本地震被災者支援活動の写真などを展示するコーナーを開設しました。そこで、白い布を用意し、来訪者に熊本への応援のメッセージを書いてもらいました。予想を超える多くの方々がメッセージを書き、布は合計7枚になりました。家族連れら約200人は「熊本ダイスキ。早く元の生活に戻れますように」「岡山からずっと応援しています」などと熱い思いを記していました。
5月29日、AMDAが活動する益城町の広安小学校の避難所である体育館に、岡山から応援メッセージが掲げられました。