救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ウクライナ人道支援活動:巡回診療を続ける『メドスポット』からの報告 (2025年8月~2026年3月)

「今日は、初めて訪れる『チョップ』にある避難所に来ています。『チョップ』はウクライナ最西端の主要駅で、西隣の駅はハンガリーの『ザホニー』です。ここがどれほどハンガリーに近い地域か、お分かりいただけるかと思います。」と、避難所で巡回診療中のメドスポット理事長、アンドラッシュ・シュパーニック医師から報告がありました。ハンガリーの首都ブダペストに拠点を置くメドスポットは、AMDA現地協力団体の1つで、毎月1回、2日間かけてウクライナ西部にある避難所で巡回診療を現在も続けています。アンドラッシュ医師がAMDAとの定例オンライン会議に参加している間も、同行している医師、看護師をはじめとしたチームメンバーが、初めて訪れる避難所に暮らす人々の健康状態を確認していました。

今回メドスポットが訪れたチョップ市の人口は、もとも13,000人程でしたが、人道危機により約4,500人が避難してきたため、現在は18,000人近くまで増加しています。市内2か所にある避難所には、それぞれ75人が身を寄せており、今回初めて同団体がそのうちの1か所を訪問し、巡回診療を行いました。この地域に直接的な攻撃が及ぶことはないものの、一度に多くの避難者を受け入れた市やコミュニティーへの経済的負担は大きくなっているといいます。また、避難者の医療へのアクセスも限られており、このような支援はありがたいという声も聞かれました。

この避難所に暮らすドンバス地方出身の高齢男性は、「地元では自分たちの家もあり、人生の終盤を楽しんでいました。今はこの避難所の小さな部屋に暮らし、2つのバッグに収まるほどの持ち物しかありません。今も私の地元では戦闘が続いています。」と話しました。さらに、「退職後は平穏な暮らしが待っているはずでしたが、実際にはすべての所持品を失い、現在は警備員として働いています。この危機により家族は離ればなれになりました。娘家族はそれぞれオランダとウクライナ国内のオデッサに住んでいます。住んでいた家はもうありません。戦闘が早く終結することを願っていますが、もう帰る場所はないのです。」と胸の内を語りました。

今回のオンライン会議に一部参加したチョップ市長からは、メドスポットの医療支援に対する感謝の言葉とともに、「自分たちが忘れられていないと実感できる」と、国際的なパートナーの存在の重要性を訴えられました。さらに、日本の侍魂とウクライナの忍耐力を比較し、「私たちは強い意志と心を持っている点で共通している」と述べました。

この日の巡回診療では、避難者の健康状態の確認に加え、心電図や血圧測定、血液検査などの臨床検査、医師による診察、心のケアも行われました。AMDAからの支援は避難者に提供される医薬品に充てられています。