救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2025年11月 インド・ビハール州・ブッダガヤ訪問記

 AMDAはインド・ビハール州ブッダガヤにて、母子保健事業をはじめ、地域コミュニティーを中心に無料で食事を提供する「AMDAあおぞら食堂」、農業事業、現地協力団体が運営する「お年寄りの家」への支援など、多岐にわたる活動を展開しています。さらに今年は、水害の被害を受けた村への緊急支援にも取り組みました。
AMDAの本部スタッフは少なくとも年に一度は必ず現地を訪れ、活動の進捗を直接確認しながら、スタッフや受益者の方々と意見交換を行い、今後の事業に役立てています。

 今回、11月21日から26日まで、AMDA副理事長 難波妙とインド担当職員 アルチャナ ジョシがブッダガヤを訪問しました。11月のブッダガヤは昼間の気温が25度ほどでとても過ごしやすい一方、朝晩は冷え込み、寒さを感じました。ブッダガヤは仏陀が悟りを開いた地として知られ、毎年11月から1月にかけて世界中から多くの巡礼者が訪れます。

 初日、母子保健事業の拠点であるAMDAピースクリニック(APC)を訪問し、スタッフと面会しました。妊娠中の女性が穏やかな気持ちで過ごすことは赤ちゃんにも良い影響を与えるため、常にその点に配慮しているとスタッフから聞きました。APCは清潔に保たれており、新しく掛けられた赤いカーテンが温かみのある雰囲気をつくっていました。スタッフは、患者さんが少しでも楽しい気持ちで来院できるよう工夫し、心配ごとや悩みを丁寧に聞いていました。

 定期健診日には、40人近くの妊婦さんや、生後1か月の赤ちゃんを連れた母親たちが地元産婦人科医による診察を受けるために集まっていました。その多くは20代前半で、初産の方が約半分、その他に再度APCを利用して二人目、三人目を予定している方もいました。待合室では笑い声が響き、赤ちゃんを抱っこし合う和やかな様子が見られました。

 お母さんたちに健康に関する知識を伝えるマタニティークラスにも多くの参加があり、スタッフが血圧測定や個別相談を行っていました。この日のテーマは「授乳」。母乳育児のメリットや授乳中、特に必要な栄養について説明があり、お母さんたちは大切な命を守り育てるため、真剣に耳を傾けていました。

 定期健診やマタニティークラスに参加している妊婦さんたちは、APCを受診していた親戚や近所の方から紹介された人が多くいました。これまで「妊娠しても定期健診は必要ない」と考えていた地域の人々が、徐々に健診の大切さを理解しはじめ、APCの評判が口コミで広がっていることを感じました。お母さんたちは、健康な赤ちゃんを産むために定期健診を受け、産婦人科医の指示に従い血液検査や超音波検査を受け、場合によっては、薬を服用します。さらにマタニティークラスで妊娠中の健康管理や栄養指導を学びながら努力を続けるお母さんたちを温かく見守り、今後もAPCスタッフとともに支援を続けていきたいと思います。

 別の日には、AMDAあおぞら食堂の活動に参加しました。11月に入り過ごしやすい気候になったため、提供する食事は夏季の辛くてしょっぱいサトゥジュースから冬季の定食へと切り替わっていました。周辺地域から多くの子どもや大人が集まり、美味しそうに食事をしていました。インドでは手で食べる習慣があり、食事の前後に手を洗うことが重要です。あおぞら食堂でも衛生面に十分配慮し食事を提供しており、衛生管理と食生活の大切さを伝える良い機会になっていると感じました。

 また、APCの元スタッフが運営する「お年寄りの家」には、AMDAも必要に応じて支援を行っています。今年6月には、モンスーンの暴風雨で被害を受けた屋根やキッチンなどの修復工事を支援しました。ブッダガヤ滞在中に訪問したところ、身寄りのない25人のお年寄りが生活していました。修復後の新しいキッチンでは昼食の準備が行われており、また被害を受けた牛舎も改修されていました。現在、9頭の牛が妊娠しており、来年2月頃から順次出産が始まる予定です。牛乳はお年寄りの栄養源となるだけでなく、売って得た収入は「お年寄りの家」を運営するための大切な財源にもなっています。今回の訪問中に、お年寄りや周辺の村のこどもたちにビスケットを配布したりしました。

 加えて、この夏の水害で被災した村にも訪問しました。昔からの知恵を生かしながらも、貧しい人々が多く暮らす地域です。AMDAが被災直後に支援活動を行った際には、藁と竹などの植物と土で造られた家は水害により全壊していました。村の人によると、政府からの食糧支援があるため何とか生活を維持できているとのことでした。しかし、これから冬を迎えるにあたり、風通しの良い家では寒さが厳しいこと、またインドには毒蛇が多く、隙間から家の中に入ってくる可能性もあり、危険な環境であることから、住民の健康や命にかかわる事態が懸念されます。村には子どもが多く、近くの学校に通ってはいるものの、教育支援や衛生管理についてもより一層の取り組みが必要だと感じました。

 これからもAMDAはブッダガヤでの支援を継続してまいります。今後とも皆さまの温かいご支援を心よりお願い申し上げます。

以下、2025年8月から11月における利用者推移

・妊産婦建診
・マタニティークラス(健康教育・栄養プログラム)
・AMDA あおぞら食堂

の利用者推移はグラフをご参照ください。