2013年を迎えて(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2013年を迎えて(2013/1発行ジャーナル1月冬号掲載)

2013年を迎えて

AMDAグループ代表 菅波 茂


バングラデシュの子どもだちと

宗教対立で襲撃された村で
緊急医療支援活動を行う AMDAバングラデシュ支部

リーマンショックから始まった世界金融恐慌が本年から本格化しそうです。欧米各国はデフレ状態ですが、欧米諸国の増刷したマネーでアジア諸国は生活向上とインフレ状態。我が国もデフレ的思考からインフレ思考へとモード変換が必要になりそうです。

NGO界も「命を守るに加えて生活の質を向上させる」方向性が大切になってきました。「NGOは命を守る普遍性。NPOは生活の公共性」が使命です。1998年のNPO法の制定以来NPOの数は約4万弱と増加。一方、NGOの数は1990年代から5百と変わりません。明らかに時代の変化を表しています。命から生活へと。

アジア諸国の生活の質の向上とともに専門性のある支援を必要としています。アジアにも高齢化社会到来です。日本の介護保険制度に代表される介護施設、介護技術、介護スタッフ能力が求められています。農業も命を守る有機農業が大量生産するために農薬を撒く農業より重要視されてきています。

国境を超えるNPO(および自治体)とNGOの連携がアジアの時代にふさわしい象徴になると思います。一方、東日本大震災復興に尽力することは欧米発の金融大恐慌に対して私たちがいかに団結できるかという大きな敷石金だと思います。

2012年12月16日から22日にかけて、6年ぶりにバングラデシュを訪問してきました。

AMDAバングラデッシュ支部は日本バングラデシュ友好病院の設立をきっかけに、2003年に正式に発足。現在に至るまでAMDAスピリットで積極的な活動を行っている頼もしい支部の一つです。海外では難民や災害被災者救援のAMDA多国籍医師団への参加に加えて、国内で巡回診療活動の実施、栄養プログラムそしてマイクロクレジットなどです。

支部のあるダッカからチッタゴンまで飛行機で約1時間。さらに車で走ること4時間。イスラム教徒が多数のバングラデシュにおいて、少数派となる仏教徒の民族が居住するチッタゴン向陵地域です。1992年から現在に至るロヒンギャ難民のキャンプからも近い地域です。最近、同地域の小さな村々では、民族対立で襲撃放火事件が発生。すでに、AMDAバングラデシュ支部が緊急医療支援活動を実施しています。

今こそ、AMDAの提唱する多様性の共存を可能にする「開かれた相互扶助」でもって、宗教を超えて民族が平和的に共存していくための医療和平を実施したく思っています。その良きモデルを2010年からスリランカで実施しています。仏教徒、ヒンズー教と、イスラム教徒、キリスト教徒の4者問の相互理解と相互信頼をめどして、スポーツ、アートそして医療による平和へのメッセージの発信です。医療和平の第二弾となります。

本年もAMDAに対するご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。