保健ボランティアとともに築く村の健康(2008/2発行ジャーナル2月冬号掲載) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

保健ボランティアとともに築く村の健康(2008/2発行ジャーナル2月冬号掲載)

保健ボランティアとともに築く村の健康

 今回は保健 ボランティアについてお伝えします。一口に保健ボランティアと言っても様々な形態があります。コミュニティーの中で一定の役割を担って欲しいと願い育成支 援を行っているボランティアの人たちは、日本の社会で活躍している民生委員、愛育委員、あるいは消防団員の方々と似ています。その特徴は、まず地域の保健 行政と密接に結びついているということです。保健分野の公共サービスの一端を担っています。次に、ホンジュラス、ベトナム、ミャンマー等のように、国に よっては法律や条令等でボランティアの役割が定められているところもあります。自治体から個々のボランティアに対して若干の報酬が提供される国もありま す。
さてボランティアになる経緯ですが、「持ち回り」というようなケースもありますが、大概は自発的に手を上げたり、あるいは村人によって選ばれたりしてい ます。ただ、多くの途上国では行政予算が不足していて、通常の保健サービスを提供することさえままならず、ましてやボランティアを養成し、その後の活動を 支えること等後回しにならざるを得ません。しかし病院や医療従事者の数も少なく、しかも都市に集中しているのが実情で、結局、農村の住民は自助努力で健康 を守らなければならない状況です。その自助努力を支える活動をしているのが私たちの仕事になります。ところで、保健ボランティアの多くは女性です。それ は、村の中で最も弱い立場にあるのが乳幼児と周産期を迎えた女性であるからです。雑菌やウィルスに対する抵抗力も弱く、周囲の人から守られる立場にありま す。男性は概してそういうことに無頓着で、きめ細かな観察力を持ち、献身的な気持ちになれる女性の方が向いている、というわけです。
AMDA社会開発機構は、現在事業を実施しているすべての国で保健ボランティアを育成し、共に活動を行っています。先日、インドネシアのニアス島から研修風景の写真が届きましたのでご紹介します。
頭とからだを動かす研修
  「私たち、村の集会所に集まって、机に座って勉強することが多いわ。アムダの看護婦さんが丁寧に教えてくれるんだけど、結構疲れるの。難しい言葉も出てく るし、なかなか覚えられないわ。でもトイレを清潔にすることによって病気から守れるってこと、理解できたの。マラリアだって、今までは、蚊帳を吊って寝る 以外に予防できないと思っていたけど、それだけじゃないのね。近所の人にちょっと自慢したいわ。それに、時々トレーニングの最中にダンスをしたり体操した りするのよ。頭が疲れたときにはこれが一番。みんな一緒に踊って楽しいわ。これで肩こりも取れちゃうかしら。」
研修は皆で協力
  「研修の中で、時にグループワークというのがあって、チームのメンバーが皆で考えるの。一つの結論を導き出すのはとても難しい。アムダの人はすぐには答え を教えてくれなくて、結構意地悪なのかなって。紙に書いたり、結果を発表したり…なんだか学校に戻ったみたい。でも私は小学校を途中でやめてしまったか ら、少し苦手かな。反対にからだで覚えることは好きよ。ほらっ、見せなさい!あんたが貧血かどうか、診てあげるから。女性の敵は貧血よ。あら、きれいな 色、結構いいもの食べているのねー。はいっ、今度は私の番よ。」