ウクライナ人道支援活動(2025/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ウクライナ人道支援活動(2025/10発行ジャーナル秋号)

岩尾 智子

 ウクライナにおける現地協力医療機関の 1 つに、AMDA が 2022 年より継続的に支援しているセントミッシェル小児総合リハビリセンターがあります。この病院には、ダウン症、自閉症、側弯症はもとより、身体や精神、知的機能に障がいを持つ子どもたちがリハビリを受けに集まってきます。

 比較的安全な西部トランスカルパチア地方にあるこの病院では、戦闘地域から避難してくるリハビリが必要な子どもとその家族に手を差し伸べてきました。

 今年 8 月に行ったオンライン会議では、同センターのディレクターより、東部の戦闘地域ドニプロ出身の 17 歳になる少年の事例が報告されました。

 「小児性脳性麻痺と診断されている彼は、歩行ができず、手足もほぼ動かない状態でした。昨年と今年、それぞれ 1 ヶ月間、センターに滞在し、リハビリを受けました。馬が大好きな彼は、厩舎の近くで、『見せたいものがある』と私たちを誘い出しました。そこに行ってみると、彼が自分の手で、一生懸命ハートのジェスチャーを作って見せてくれたのです。手を動かすことすら困難であるにも関わらず、それを見せてくれたことにとても感動し、その様子を思わず写真に収めました」(ディレクターの話)

 AMDA からの支援は、物価高にあえぐ生活困窮者や避難者への食糧支援、ならびにがん患者への医療支援に活用されているほか、センターで使用する清掃用具の購入や光熱費、支援活動用車両のガソリン代などに充てられています。

 同センターを通じて、AMDA はこれからもウクライナで困難な生活を送る方への支援を継続していきます。