
岩尾 智子
7 月中旬から続いた熱帯低気圧の影響により、首都マニラのあるフィリピンのルソン島では洪水や地滑りが発生。これを受け、AMDA フィリピン支部が中心となり、緊急支援活動が行われました。
7 月 25 日、深刻な被害を被ったバレンズエラ市で医療支援を実施し、計 750 人を診察しました。支援を行った 4 ヶ所の避難所の 1 つ、バレンズエラ高校では、子どもたちを対象としたレクリエーション活動や炊き出しも行われ、総勢 830 人が参加しました。

また 9 月 7 日には、長引く災害の影響に対応するため、サン・イルデフォンソ市バスイットにて支援を行いました。診察から衛生教育に至るまで、包括的な医療支援を実施し、軽食と飲料水を配布しました。医療支援の際、熱や咳といった風邪の症状や、水害に起因する感染症が多く見られました。また避難生活により慢性疾患が悪化したケースや、精神的な不安を訴える例も見られました。子どもと診察に訪れた母親は、「洪水で水位が上がるのが非常に速く、どこに逃げればいいかわからなかった」と振り返りました。AMDA フィリピン支部長のダビロ医師は、今回の支援活動を通じて、「自分たちが被災地に駆けつけ、共感を示すことが被災者にとって最大の癒しになることを再認識した」と語りました。