副理事長 難波 妙

2017 年 9 月にスタートしたモンゴルでの内視鏡技術移転事業は、モンゴルの熱心な内視鏡医たちの努力と向上心により、年を重ねるごとに進化してきました。現在では、日蒙両国の医師がともに現場に立ち、安全かつ高度な内視鏡治療の実現を目指す「内視鏡技術協力事業」として実施しています。
8 回目となる今回の活動は、6 月 8 日から 6 月 16 日まで、小倉記念病院消化器内科主任部長の白井保之医師と、AMDA の佐藤拓史理事長の指導の下、日本モンゴル教育病院で行われました。内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)1例、内視鏡的静脈瘤硬化結紮術(EISL)2 例、胃静脈瘤に対する EIS(ヒストアクリル)1例の治療を実施。治療に先立ち、内視鏡医と放射線科医が共同で CT による門脈血行動態の評価の必要性について検討し、治療方針を確認しました。これまでになかったこの取り組みに、医療現場の前進を実感しました。

さらに今回、日本から上部・下部内視鏡シミュレーターを持参し、ワークショップも開催。日本モンゴル教育病院関係者をはじめ、ウランバートル市内外の病院の医師も参加しました。若手の医師たちは、毎日、治療後に白井・佐藤両医師によるシミュレーターでの研修を受け、確かな技術を身につけようと真剣に取り組んでいました。今後の継続的な技術習得を支援するため、上部内視鏡シミュレーターは、同病院に寄贈されました。

また、同病院の新院長、プレヴドルジ教授と佐藤理事長の間で、協力協定を更新することにも合意し、今後の連携強化を改めて確認しました。このほか、白井医師は、モンゴル消化器学会において講演し、多くの関心を呼びました。
モンゴルの内視鏡医とともに歩み、確実に内視鏡の知識と技術の継承が進むよう、AMDA は来年も同地における活動を約束しました。