5月2日夜から3日にかけてミャンマー連邦中・南部を直撃した、大型サイクロン・ナーギス(Nargis)による被害が拡大している。報道と国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、同国政府筋は死者が1万5千人以上と発表し、激甚災害地に指定されている5地域(エーヤーワディー管区、ヤンゴン管区、バゴー管区、モン州、カレン州)では、数十万人が避難場所や飲み水が得られない状態である。
これを受けAMDAは緊急支援活動を実施した。
1.調査活動等開始日:
5月5日(診療活動の開始は、11日)
2.活動地:
ヤンゴン管区 クンジャンゴン市 各保健行政地区
3.診療した患者数・健診数(5月11日〜6月16日):
計6,225人(患者数6,110人+健康診断115人)
4.これまで実施している活動内容:
・被災状況、救援ニーズの調査(ヤンゴン市内各所及びクンジャンゴン市内各所)
・ヤンゴン保健当局(保健省緊急対策本部・ヤンゴン管区保健局)との協議
・クンジャンゴン市保健当局との協議及び活動連携
・AMDA医療スタッフ+保健省保健局・保健省環境衛生局・
クンジャンゴン市医療スタッフ+住民参加による巡回診療
・飲料水用錠剤や石鹸などの配布と、使用方法等の説明を兼ねた保健衛生教育
・毛布や古着の贈呈
5.支援活動に従事している日本人:
細村幹夫 内科医(呼吸器内科専門) 越谷誠和病院(埼玉県越谷市)
寺戸通久 救急医
岡山大学医療教育統合開発センター医学教育部門 助教・
岡山大学病院救急部
小堀他津子 看護師 医療法人アスカ会看護主任
竹久佳恵 現地事業統括 AMDA社会開発機構
畑山ゆかり 調整員 AMDA社会開発機構
谷口敬一郎 調整員 AMDA 緊急救援担当
*鈴木俊介 AMDA社会開発機構 理事長 ヤンゴンで活動統括後帰国
*スェ・スェ・タン ミャンマー人 医師
岡山大学医歯薬学総合研究科生物化学講座 留学生
6.巡回診療チームの構成:
第1次(5月11〜17日) 計12人+地元住民ボランティア多数
第2次(20〜23日) 計18人+地元住民ボランティア多数
第3次(25〜27日) 計17人+地元住民ボランティア多数
第4次(6月1〜4日) 計19人+地元住民ボランティア多数
第5次(6月10〜15日) 計26人+地元住民ボランティア多数
AMDA日本人医療従事者・スタッフ:医師2/看護師1/調整員2
ミャンマー人医師(岡山大学留学生):1
AMDA現地医療スタッフ:
医師3/補助医師1/看護師2/業務調整員1/保健補助員4/ロジ補助員1
保健省保健局:医師1/感染症対策員1
保健省環境衛生局職員:1
クンジャンゴン市保健局:補助医師1/助産師3/公衆衛生士1
7.被災状況
大型サイクロン・ナーギス(Nargis)は、5月2日夜から3日にかけてミャンマー南部を直撃した。政府の発表によると、死者7万7,738人、行方不明5万5,917人(5月17日)。一方国連は、被災者は160万〜250万人に上ると推定している。今後はマラリア、コレラなどの感染症の流行も予想され、二次被災者の増加が懸念されている。
8.AMDAがミャンマーで実施している事業
(1)中部乾燥地域事業 (マンダレー管区メッティラ県、ニャンウー県、マグウェ管区パコク県)
1995年より、無医村の村への巡回診療や給水システムの整備を、2002年より母子の健康増進を目的とした包括的なプライマリー・ヘルスケア・プロジェクトを実施。また、約1,500人の女性を対象に、農村家族の所得向上と自立支援を目的としたマイクロクレジットプロジェクトも行っている。
(2)コーカン事業 (北シャン州コーカン特別地区)
ケシ栽培が禁止された翌々年の2004年より、少数山岳民族の人々を対象に、貧困農村支援プロジェクトとして、緊急食糧支援、小規模インフラ施設整備、保健衛生教育、技術訓練を実施。2007年より、緊急食糧支援から地域社会の復興へ軸足を移して活動(母と子の栄養改善支援事業)を展開している。