大規模災害発生時における鍼灸治療の重要性が再認識されています。
4月に発生した熊本地震においても災害鍼灸のニーズは非常に高いものでした。
AMDAは7月8〜9日の両日、第3回災害鍼灸チーム育成プログラムを開催し、全国各地から参加した鍼灸師ら29人はAMDAグループの菅波茂代表ら講師4人の話に熱心に耳を傾けました。
1,2回目は東北被災地で開催し、岡山での開催は初回となるものです。
菅波代表は、尊敬と信頼に基づく相互扶助ネットワーク構築の大切さを強調。「鍼灸師の方々は被災者の体をさすり、会話をすることで不安を取り除き、(回復に向けて)内部の力を揺り動かす大きなパワーを持っている」と述べました。
帝京平成大学(東京)教授であり、AMDA災害鍼灸代表世話人である今井賢治教授は「頭痛や肩こりなどの症状軽減に鍼治療は有効だった」と熊本地震の被災者の調査データを基に説明。「多職種が連携した究極の地域医療が出来たのではないか」と医療チームの活動を高く評価しました。
佐々木賀奈子鍼灸師(岩手県在住)は東日本大震災で被災者を救おうとして津波にのみ込まれ、奇跡的に助かった体験を振り返り、「鍼灸治療を続けるのが私の生きている証。自分の思いを若い次世代にも伝えていきたい」と話しました。
高橋徳医師(愛知県在住)は鍼灸効果のメカニズムをわかりやすく解説し、「鍼灸は大きな可能性を秘めた治療法」と指摘しました。
9日の講義では、熊本地震の緊急支援活動の報告や、現在も熊本県益城町で週3日避難者に対し鍼治療を続けていただいている4人の熊本在住鍼灸師からの報告がありました。
4人の鍼灸師は、AMDAの活動に加わった経緯や、広安小学校にいる避難者の方々にとって鍼治療が心身ともに良い影響を与えられていることや、避難者の方々から心の拠り所とされていることを実例でお話しくださいました。