ネパール地震復興支援報告9 〜障がい者支援 シンドゥパルチョーク郡〜 – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール地震復興支援報告9 〜障がい者支援 シンドゥパルチョーク郡〜

障がい者支援では、現地製造の車いす支援とともに福祉用具等も用意してカトマンズ近郊の訪問活動や、山間地域に車いすやポータブルトイレ、福祉用具等を車に積んで障がい者宅を訪問するモバイルキャンプをCILカトマンズのピアカウンセラーらと実施しております。自立生活にむけ「必要な方に必要な支援を」と取り組んでおります。

この活動を通じて感じていますことは、効率的に活動しようとすれば、どこかに対象者に集まっていただいてお渡しするのが効率的ではありますが、私たちが効率化を求めればすでに外に出られる方しか集まってきません。私たちが最も重要と考えている対象者は家に閉じこもり、ベッドに寝たきりになっている、あるいはその可能性の高い方々です。しかし、こうした方々はたいてい外に出る事も難しければ、対象者の情報を私たちも得る事が難しいのです。このため限られた情報を頼りに私たちから出向く必要があります。また必要なのは対象となる方々が自立した生活を獲得していただく事です。そのためにも実際の生活場面に私たちが出向く必要がございます。

以上の理由によって、私たちの活動ではモバイルキャンプとして地方にいらっしゃる障がいのある方の各家庭を訪問する事を心がけております。また実際に訪問してみますと近所の方々も集まってこられることが多く、現地に訪問していてその他の障がい者の情報をいただくことも珍しくありません。

12月には震災の被害が甚大であったシンドゥパルチョーク郡に2度目となるモバイルキャンプを実施しました。今回のシンドゥパルチョーク郡でのモバイルキャンプの特徴は、同行していただいた現地の障がい者団体CILカトマンズのスタッフで、自らも脊髄損傷の方の助言をいただき、尿路感染予防対策のための消毒に関するものも用意したことです。ネパールの山間部ではなかなか感染予防はとても難しく、またご自身やご家族の理解も不十分で予防対策ができていない方が多くいらっしゃいます。そして十分に医療も受けられない環境にあることから深刻な問題に発展し、最悪の場合死に至る事も珍しくありません。今回のモバイルキャンプではAMDA製造車いすとカテーテル(排尿を行うための管)、消毒関連の支援および感染予防対策と自立生活のための指導とともに、ピアカウンセラーによるカウンセリングを合わせて行いました。また必要な方にはCILカトマンズの行う自立生活にむけたトレーニング(ILプログラム)に来ていただく事もお勧めしました。その結果、お一人の方は近日中にILプログラムに来ていただく事になりました。

こうしたニーズは、待っていたのでは見つける事はでてきません。モバイルキャンプやカトマンズ近郊の訪問リハビリテーションなどのアウトリーチ活動を通じてニーズを見つけ出して一件一件対応しております。モバイルキャンプやカトマンズ近郊の訪問活動は、時間の経過とともに変わるニーズに柔軟に対応するため、同じ障がい者であるCILカトマンズとの連携を欠くことなく継続しております。

理学療法士
西嶋 望