AMDAインド支部 ミナクシ事務局長
4月12日、AMDAインド支部のミナクシ事務局長が、ストレスとの上手な付き合い方について教える無料オンラインセミナーを開催しました。ミナクシ氏はインドの伝統医学アユルヴェーダの専門家で、今回のセミナーは三度目の開催となります。ストレス社会といわれる現代ですが、それに追い打ちをかけたのが今回発生した新型コロナウィルスの蔓延です。在宅を余儀なくされ、普段通りの生活がままならない中、いかに上手にストレスをコントロールしていくかが、この難局を乗り越える鍵となります。
今回のセミナーで、ミナクシ氏は、ストレスに関する具体的なセルフケアの方法から、自己愛に関すること、アユルヴェーダに欠かすことのできないハーブやアロマについて取り上げ、参加者からの質問に応じました。
ストレスに対してできるセルフケア
「難しい状況下で、自己愛を育むシンプルな方法」
ストレスに対してまず実践できるのは、ともかく身体を動かすことです。軽い運動をはじめ、ヨガ、瞑想、散歩でも構いません。特に散歩は、足の為に歩くのでなく、あくまで自分自身をリラックスさせる為に歩いて下さい。とりわけ自然の中を歩くと、幸福ホルモンが活性化され、デトックス作用をもたらします。言ってみれば、薬と同じ効果が得られるのです。逆に、精神安定剤や睡眠薬に頼ることは、一時的な解決策しかもたらしません。
この他、自然と触れ合うという意味では、ガーデニングもおすすめです。植物に愛情を与えることで自身も満たされることになり、これが結果として自己愛を育むことに繋がります。
状況を理解し、それに応じて解決策を考える
ストレス予防においては、自身の行動について考えてみることも大変重要です。例えば、一旦その場を離れ、意識的に居場所を変えてみるのも有効な手立てです。遠くに出掛ける必要はありません。家族や親族が近くに住んでいるのであれば、顔を見に行くだけでも気分転換になるはずです。また悩み事を抱えている時は、一人で抱え込まず、他人に助けを求めましょう。
人間関係においては、例えば離別や離婚などを経験した直後は、すぐに次に行くのではなく、間を空けることが大切です。離別に限ったことではありませんが、いずれにせよ自身が置かれている状況を理解し、それに応じて解決策を考えることが必要となります。その際、ヨガにおける瞑想を行うのがよいでしょう。マントラを唱えながら瞑想することで意識をリラックスさせることができます。
ハーブおよびアロマオイルについて
ハーブ類はアユルヴェーダにおいて欠かすことのできない重要な要素です。ハーブティーやアロマオイルと聞くと、香りの持つ効能に着目しがちですが、その一方で、忘れてはならないのが環境臭とよばれるものです。一定の環境における臭いがストレスに関係していることも見過ごせません。
通常、アユルヴェーダの世界では、施術者が患者の症状に合わせてアロマオイルを調合しますが、体質や症状によって合わないものもある為、この点は心得ておきたいところです。最も良いのは資格を持った専門家に相談することですが、それが叶わない場合、自身が妊娠していなければ、自分で匂いをかいでみてハッピーになれるものを選ぶとよいでしょう。
ストレスを軽減し、リラックス効果があるのは、ラベンダーやカモミールなど、野花を思わせる香りです。サンダルウッドもよいかもしれません。またペパーミントは匂いをかぐことで肺に酸素を取り込みやすくなり、活力を与えてくれます。
尚、飲み物に関しても、コーヒーや紅茶を常飲するよりは、ラベンダーティーやカモミールティーなどのハーブティーを飲むことをおすすめします。
一時的なストレスか、精神疾患か
ストレスに長期的に晒されると、鬱などの深刻な精神疾患を引き起こすことになり、結果として回復に時間が掛かります。メンタル面では、不定愁訴や判断力の低下が常態化し、身体面では、高血圧や高脂血症、対人障害など様々な症状があらわれるようになります。
精神疾患と診断された場合は、セルフケアの範疇を超える為、カウンセリングや薬の服用が必要でしょう。
一方、一時的なストレス症状の場合は、薬の服用は控え、ストレス要因を見つけて除去することが重要となります。自身にとって不要と思われる要素を日々の生活から取り除き、軽い運動や良質の睡眠とともに健康な生活習慣を心掛けることが大切です。
「シンプルなことからはじめること」− ミナクシ氏のこの言葉に、参加者各位も頷いている様子でした。