診断は問診(予防接種歴)、疫学(流行の報告)、運動麻痺の特長、突発的な発病、リンパ球優位の髄膜炎所見から判定する。確診はウイルス分離(血液、糞便、髄液)と15日間隔で採取した検体で特異抗体の上昇を認めることだが、ウイルス分離は特殊な検査室でしか行えない。
特にポリオの撲滅活動が進んでいる地域では、病原ポリオウイルスが野生株かワクチン株由来かを判定することが重要である。
麻痺型の鑑別診断として、コクサッキーウイルスA群(1-24型)、B群(1-6型)、エコーウイルス(1-34型)、エンテロウイルス(68-72型)等のエンテロウイルス性ポリオ様麻痺、Guillan-Barre症候群、狂犬病、回帰熱、ボツリヌス中毒、ダニチフス、旋毛虫症、多発性筋炎、農薬中毒、重症筋無力症、ポルフィリア症、周期性麻痺が挙げられる。
ポリオとGuillan-Barre症候群の鑑別点
鑑別点 | ポリオ | GBS |
障害の特徴 | 弛緩性麻痺 | 感覚障害 |
麻痺の部位 | 下肢、非対称性 | 四肢、対称性 |
麻痺の持続 | 3−4日 | 10日前後 |
髄膜刺激症状 | あり | なし |
髄液の性状 | リンパ球優位↑ | 蛋白↑細胞数↓ |
髄膜炎型の鑑別診断として、他のウイルス性髄膜炎、化膿性髄膜炎、結核性髄膜炎、脳膿瘍、レプトスピラ症、伝染性単核症、中毒性脳症などを考える。
このページはAMDA学術委員会により作成されました。