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 その他の原虫症

トリコモナス症(trichomoniasis, trichomonase ICD 131.0.)
  トリコモナス症は泌尿生殖器系の疾患で、世界中に見られる。Trichomonas vaginalis(膣トリコモナス)が病原体の一種の性病である。
 疫学
 症状
 診断
 治療
  
大腸トリコモナス症(flagelloses coliques)
  Trichomonas hominis (T.intestinalis、図1)は栄養型として、大腸粘膜に寄生している。嚢子の形態を取らない。接触型抗アメーバ薬(difetarsone) やmetronidazole(flagyl) に起因した大腸炎や全腸炎の病因となろうとの意見があるが、確実でない。

図1

  Chilomastix mesnili(図2), Embadomonas intestinalis, Emteromonas hominisはいずれも大腸の非病原性原虫である。糞便検査でこれらの栄養型または嚢子を発見しても、治療は行なわなくてよい。

図2

 


大腸バランチジウム症(balantidiosis, balantidiose)
  大腸バランチジウム症は、Balantidium coli(大腸バランチジウム)という滴虫類に属する1種による稀な原虫症である。この原虫は栄養型の表面全体に絨毛を有し、大きさは70-200μm である(図3)。嚢子は球形で直径50μm である。ブタに寄生し、ときどき他の動物やヒトにも寄生する。これらが嚢子を含んだ汚水や調理不十分の豚肉を摂取することで感染する(図4)。本症は世界各地で見られるが、特にメキシコ、ブラジル、中近東という気温の高い国々に多い。

図3 図4

  不顕性感染が頻繁である。赤痢型は、出血や穿孔、それと恐らく肝への転移を起こすことが急性腸アメーバに類似している。慢性大腸バランチジウム症が起こることも報告されている。診断は糞便中にB.coliを発見することである。直接検鏡、集積、 Pasteur研式改良型二相培養がよい。治療はcyclines系抗生剤と接触型抗アメーバ薬を用いる。


原発性アメーバ性髄膜脳炎 (primary amoebic meningo-enchephalitis(PAM), meningo-encephalite amibienne primitive, naegleriose)
  原発性アメーバ性髄膜脳炎は稀な疾患であるが、自由生活アメーバのNaegleria属がヒトの脳神経に侵入して起こるものである。本症は肝や肺のEntamoeba histolyticaが二次性の脳膿瘍を作ったものを除いた報告からわかった。
 疫学
 症状と診断
 治療
 

コクシジウム症 (coccidiasis, coccidioses, ICD 007.0.)
 
イソスポーラ症(isosporiosis, isosporose)
    Isospora belli(戦争イソスポーラ)はヒトの小腸に寄生する、Isospora またはSarcocystis属のコクシジウムである。多数分裂期には。小腸上皮細胞内に入ったスポロゾイトは増殖して分裂体(シゾント)となり、宿主細胞を破ってたくさんのメロゾイトが放出される。これらは新しい小腸の細胞に達する。配偶子形成期には、メロゾイトは雄性生殖体と雌性生殖体にそれぞれ変化していく。両者が受精すると未熟オーシストとなり、外界へ排出される。これはさらにスポロシストという2分節化したものとなり、各々の中に4つのスポロゾイトを含有する。ヒトには成熟したオーシスト(図5)が経口的に摂取されて感染する。

図5

  本症は熱帯地域に比較的多い。ときに潜在性だが、普通は発熱を伴う中程度の下痢があり、数日から数週間で自然に治まる。再発すると吸収不良症候群となり、肝への病巣の拡がりが認められることがある。血中好酸球増多が大抵おこる。糞便検査では、I.belliのオーシストが検出される。木炭上で便培養を行なうと、種の同定が容易となり、動物のコクシジウム症が感染したウサギや魚を食べて人体に混入したものかを鑑別出来るようになる。十二指腸ゾンデでも同様にオーシストの検出が出来る。小腸生検では、局所的な絨毛の萎縮、同部への好酸球を多含した炎症、および各発育段階の病原体が認められる。治療はきちんと体系化されていないが、 chloroquine, metronidazole, sulfamide系, cotrimozazole(ST合剤)が用いられている。


肉胞子虫症(sarcocystosis, sarcocystose)
     Sarcocystis himinis(ヒト肉胞子虫、図6)は、牛の多数分裂期(Sarcocystis bovihominis) 或いはブタのそれ(Sarcocystis suihominis)が、ヒトの胞子形成期に続いたものである。ヒトには、肉胞嚢を含んだ調理不十分な肉を食べると感染する。感染者は糞便中にスポロゾイトを4つ含んだスポロシストを排泄する。このスポロゾイトが動物に直接感染する。

図6

  肉胞子虫症は世界中に分布し、ふつうは無症候性である。時折下痢やいろいろな小腸炎の原因となる。ときには壊死性腸炎や小腸の好酸球性肉芽腫を引き起こす。診断は糞便検査で、直接検鏡か培養でスポロシストを検出する。外科的治療を必要とする重症型を除いては、治療の適応はない。


微胞子虫症(microsporidiasis, microsporidiose)
  微胞子虫はMicrospora門に属する原虫である。何種かがヒトに感染すると記載がある。Encephalocytozoon, Nosema, Pleistophora, Enterocytozoonがそれらである。これらは動物由来でなく、Enterocytozoon bieneusiの由来は不明である。本症は脳、腎、心、横隔膜、副腎髄質と皮質とたくさんの臓器を冒す。感染形式は、抵抗性の胞子を経口摂取することである。感染型であるスポロゾイトが牛宿主細胞に到達し、多数分裂まはた二分裂して肉胞嚢を作る。成熟したものは破れて、放出されたスポロゾイトは極細化して別の細胞にコロニーを形成する。
  ヒトには僅かな症例報告しかなく、髄膜脳炎と網脈絡膜炎が1例ずつと免疫不全の小児で播種性微胞子虫症が1例、角膜からの分離が1例、後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の筋炎が1例あるのみとなっている。Enterocytozoon bieneusiは合衆国、欧州、アフリカでのAIDS患者における、原因不明の下痢症の5-30%の病因であろう。
診断法は確立されていない。電子顕微鏡で分極した特徴的な顆粒胞や管状フィラメントを観察するのみである。
  sulfamide系が微胞子虫に有効のようである。

ニューモシスチス症(pneumocystosis, pneumocystose)
  ニューモシスチス症またはニューモシスチス・カリニ肺炎は、世界中で未成人や免疫不全状態(特にAIDS患者)の者に起こる寄生疾患である。
 疫学
 症状
 診断
 治療と予防

バベシア症(babesiosis, babesioses)
    赤血球に感染し、マダニの刺し傷のより伝播する。バベシア症(別名piroplasmose)は本来動物に見られる病気で、ときにはヒトにも起こる。特に脾摘出を受けた者に重篤化する。合衆国ではBabesia microti(ネズミバベシア)、欧州ではBabesia divergensがヒトに病気を起こす。新大陸では、良性あるいは不顕性がしばしば見られる。欧州では、脾摘患者に重症の溶血性貧血がときどき合併するとの記載がある。
赤血球内の栄養型がP.falciparum(熱帯熱マラリア)の栄養体と類似しているが、本症では生殖母体とマラリア色素が血中に見られないことで鑑別できる。血管外輸液と、重症例ではclindamycineとquinine の併用で効果があろう。

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