AMDA 副理事長 難波 妙

2017 年に始まったモンゴル内視鏡技術移転事業は、日本人医師、モンゴル人医師がともに治療にあたることで同国内の内視鏡治療技術の向上を目指しています。今年度は9 月30 日から10 月5 日まで、小倉記念病院消化器内科主任部長の白井保之医師、AMDA の佐藤拓史理事長が、モンゴルの医師免許の下、日本モンゴル教育病院内視鏡医チームとともに、胃静脈瘤ヒストアクリルによる内視鏡的塞栓療法3 例、EISL1 例、食道静脈瘤 EISL6 例、ダブルバルーン小腸内視鏡 1 例、6 名の上部・下部内視鏡検査を行いました。この他にも白井医師による専門講義や、佐藤理事長によるシミュレーターを使った下部内視鏡のトレーニングなども行いました。
白井医師のコメント

「モンゴルは肝硬変の頻度が高く、食道胃静脈瘤の治療を必要としている人が多くいることを実感しました。日本では滅多に見ないような大きな静脈瘤の症例を短い期間に沢山経験しました。そして内視鏡の技術や治療戦略、デバイスや薬剤が十分でなく、日本で行われているような治療が十分なされていないという現実を目のあたりにし、モンゴルに十分な静脈瘤治療を届けたいという気持ちが沸き上がりました。
今回で3 回目となる研修では、胃静脈瘤に対してヒストアクリルという瞬間接着剤を静脈瘤の中に打ち込む治療をより安全に行う方法をレクチャーし、実際に治療を行いました。リスクの高い大きな静脈瘤に対する治療が多く、冷や汗も出ましたが、トラブルもなく治療を終えることができて安心しました。モンゴルの医師たちは非常に勉強熱心で、知識・技術が急速に成長しています。今後、この治療法が広く普及していくことを望んでいます」
