令和 6 年能登半島地震被災者支援活動 ~ 輪島中学校復興支援活動 ~(2024/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
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令和 6 年能登半島地震被災者支援活動 ~ 輪島中学校復興支援活動 ~(2024/10発行ジャーナル秋号)

プロジェクトオフィサー 小川 直美

 2024 年元旦に石川県能登半島を震源とする最大震度 7 の地震が発生したことを受け、AMDA は 1 月 2 日に調整員2 名を現地へと派遣。1 月 8 日から輪島市立輪島中学校を拠点に、2 月 3 日まで医療支援活動を実施しました。

■ 今回の支援までの経緯


 4 月に訪問した際、集団避難をしていた中学生が戻ってきた輪島中学校では、校舎が損壊した近隣の小学校 6 校の生徒たちを受け入れ、区画整理と並行して、授業が行われていました。

 その後、「小学校の仮校舎の完成を待って、夏休みの間に小学校の移転作業が行われる」という話を伺いました。小学校の荷物は業者が移動してくれる一方、もともと中学校にあったものは、先生方で移動する必要があるということでした。先生方の負担を減らすために協力ができないかと校長先生に相談し、輪島市教育委員会を通じて、今回の支援活動が決定しました。

 支援決定後、AMDA と包括連携協定を結んでいる大学に協力を依頼したところ、岡山市にある IPU 環太平洋大学サッカー部の坂手雅斗コーチから、「被災地の方の力になりたい」と参加の申し出があり、サッカー部有志 19 名の参加が決まりました。

■ 輪島中学校での支援活動


 8 月 5 日、午前 9 時に岡山駅を出発し、午後 6 時すぎに輪島市に到着。翌 6 日を活動日とし、朝から輪島中学校に向かいました。中学校では、先生方の指示の下、机や椅子の運搬作業や教室の清掃作業を行いました。音楽室のピアノや技術室の作業机など重量のあるものも多くあり、先生方からは、「これを自分たちだけでするのは難しかった」「作業がとても早く終わって助かりました」とのお声をいただきました。

 午後からは輪島中学校サッカー部と合同練習を行いました。基礎練習後、大学生と中学生で混合チームが作られ、紅白戦が行われました。練習後は大学生が用意した IPU のロゴ入りのユニフォームが 1 枚ずつ中学生に手渡されました。 グラウンドの半分以上の地盤が崩れている状況で、使用できる範囲を整備して部活動を行っている様子を見て、参加した大学生は、「自分たちの置かれている環境や、普段使っているグラウンドがあるのは、当たり前のことではない」と認識したそうです。

■ IPU 環太平洋大学での報告会


 9 月 4 日、IPU 環太平洋大学で今回の支援活動の報告会が開催され、サッカー部員の友成翼さん、綱島基起さんによる発表が行われました。

 友成さんは 1 年前に同じく能登半島にある石川県の和倉へサッカーの遠征試合に行った際に現地で良くしてもらった経験から、また綱島さんは、6 年前の西日本豪雨の際、他県からボランティアの人が助けに来てくれた経験から、それぞれ今回の参加を決めたと報告しました。

 発表では、「輪島市内の様子は想像していたよりもひどく、言葉を失った」「一緒に練習した中学生から、『地震後に部員が転校し、部員数が 24 名から14 名に減った』と聞き、災害は建物だけでなく、人間関係も壊してしまうのだと感じた」「中学生たちの笑顔が嬉しかった」等、貴重な体験を聞くことができました。最後に友成さんと綱島さんは、「今後も人の役に立てる活動に参加したい」と抱負を語りました。

 報告会には、同大学の大橋節子学長をはじめ、約 40 人が集まり、発表に耳を傾けていました。