2022年度年次報告 災害支援事業(復興支援活動)(2023/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2022年度年次報告 災害支援事業(復興支援活動)(2023/7発行)

東日本大震災復興支援活動

1復興グルメF-1 大会

◇実施場所: 宮崎県気仙沼市 南町紫神社前商店街
◇実施時期: 通年
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
復興グルメF-1 大会運営事務局実行委員長 坂本 正人、菅原 尚美

◇受益者数: 1,130 人
◇受益者の声:
「来られた方のなかにはお米を受け取る時『えっいいの?』と、驚かれる方もいた。回を重ねるごとに人数も増え、コロナ禍に加え物価高騰で生活が大変な方がいることを改めて実感した。」

◇事業内容:
「復興グルメF-1 大会」は2020 年以降コロナウイルス感染症まん延防止のため、休止中。

一方で、これまで数回行っていた食糧支援の継続を石巻のボランティアの方と決定し、『コロナ支援物資配布』と、様々なイベントを定期的に開催している。4 月に行った支援会には今までにないくらいの人が訪れ、長いコロナ禍を実感した。そしてゴールデンウィークには親子で楽しめるイベントを行った。

また、9 月には大阪府立桜塚高校の生徒たち15 人が修学旅行の一環として東日本大震災の話、復興の過程を聞き取りに来た。

11 月には『5th Anniversary ライブ!!』と『手筒花火』、12 月にcadocco(南町紫神社前商店街内集会所)にてAMDA 写真パネル展示、1 月に『2023 南町紫神社前商店街初
売りイベント』を行った。
 

2仙台市震災ホームレス支援

◇実施場所: 宮城県仙台市
◇実施時期: 2013 年〜継続中
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
NPO 法人仙台夜まわりグループ

◇受益者数: 延べ人数1,200 人

 

◇事業内容:
週4 日定例活動を継続しており、主に食事提供とシャワー・洗濯と乾燥機の利用を提供している。独居高齢男性も多く、コロナ禍以降、若者たちの参加も目立つ。早朝の有償清掃ボランティア活動に参加した方に少額であるが賃金を支払っている。食事会と自立支援セミナーを開催した。AMDA から寄贈したグンゼの肌着は必要不可欠なものであり、更にAMDA から提供した大きなリュックは、荷物がたくさん入ると路上生活者に好評であった。
 

3 AMDA 大槌健康サポートセンター事業

◇実施場所: 岩手県上閉伊郡大槌町
◇実施期間: 2011 年3 月12 日〜継続中
◇従事者: 佐々木 賀奈子 / AMDA 大槌健康サポートセンター長、教室事業講師2 人

◇受益者数(2022 年度): 延べ人数教室事業439 人、鍼灸408 人
◇受益者の声:
「健康セミナーでは自分でできるツボを教えてもらい肩関節、腰痛が楽になった。」
「木工、さをり織りの教室の作品作りは、みんなとアイデアを出し合う楽しさがある。」

 
◇事業内容:
2011 年12 月に設置されたAMDA 大槌健康サポートセンターのユニット式建物は、震災後地域の復興に伴い、建物を仮の場所に移転し、活動は町内のアパートを借りて継続してきた。ユニット式建物は、大槌町で東日本復興事業として、地域の人々の健康、コミュニティ、生活に寄与する目的で「おやちゃい組合」に譲渡することを2018 年に決定。長い期間を要し大槌町内に設置する準備が整った5 年後の2022 年秋に仮の場所から移設、リフォームして2022 年12 月4 日にリニューアルオープンした。今後、AMDA 東日本復興支援事業は、佐々木賀奈子センター長に委託し、リフォームしたユニット式建物を活用して継続していく。これまでの支援者の思いの詰まったユニット式建物は深い意義のあるものとなる。2022 年度はコロナ感染増大の影響で、教室事業は回数を制限し、体笑教室、健康セミナーはオンラインで開催した。
 

4復興グルメF-1 大会開催先訪問

◇訪問場所: 宮城県気仙沼南町紫神社前商店街、岩手県陸前高田市、宮城県南三陸町
◇訪問期間: 2022 年12 月1 日〜 3 日
◇参加者: ボランティア2 人、AMDA 職員2 人

◇受益者の声(岡山から参加したボランティアの声):
「久々に訪れた東北の被災地。町の様子は変化していましたがお会いした皆さんの笑顔は変わらず、それがとても嬉しかったです。支援する側、される側ではなく、災害大国で同じ時代を生きる仲間、大切な友人として、このご縁が末永く続くことを願っています。」

「3 年ぶりに気仙沼、陸前高田、南三陸町に行き、復興の現状を垣間見ました。防潮堤、道路、記念館等々ハード面の復興は進んでいたが、人口減、住民の高齢化、各種支援金の終了等々厳しい現状を伺いました。微力だが、できる支援は続けていきたいと再認識しました。」

◇事業内容:
12 月1 日〜 3 日まで復興グルメF-1 大会の関係先を訪問し、復興グルメF-1 大会と被災地間交流について意見交換を行い各地の復興の様子を視察した。
 

1) 宮城県気仙沼南町紫神社前商店街

気仙沼南町紫神社前商店街事務局AMDA 参与坂本正人さん、菅原尚美さんの案内で市内を視察。強化ガラス窓付きの防波堤や復興住宅を見ながら、震災当時避難する車で渋滞した箇所が拡張された安全な避難経路を通った。市内の北側にある安波山(あんぱさん)の復興祈念公園から市内を一望し、当時の津波被害について話を伺った。三陸新報新聞社の取材で坂本さんは、復興グルメF-1 大会や、東日本の震災の教訓を今後の大規模災害に生かした防災を通じての商店街との連携強化について語った。

岡山から参加されたボランティアの方々とともに、気仙沼南町紫神社前商店街の地域で生活支援家庭を対象にした米100 袋の物資支援の仕分け作業をした。

 

2)岩手県陸前高田市

「たまご村」復興商店街の太田昭成さんから最近の様子や復興グルメF-1 大会の意見交換を行った。奇跡の一本松と「いわてTSUNAMI メモリアル」を見学し、被災当時のままの消防車、被災映像、震災の歴史から今後の教訓と後世に伝えていくことの大切なメッセージとして感じた。

 

3)宮城県南三陸町

南三陸さんさん商店街「マルセン」三浦洋昭社長を訪問し復興グルメF-1 大会と被災地間交流について意見交換した。また、佐藤仁 南三陸町長を表敬訪問し復興の様子を伺った。「南三陸311 メモリアル」では震災の記録パネルや2 階デッキから震災当時の鉄骨の旧防災対策庁舎を見学した。

 

ハイチ・2021 年地震復興支援スポーツプロジェクト

◇開催場所: ボモン市
◇開催日: 2022 年8 月13 日〜 14 日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
AMDA ハイチ支部、ボモン市

◇受益者数: 児童45 人
◇受益者の声:
「 震災で悲しい思いをしたが、今日は素晴らしい一日になった。他の地域でもこのイベントを開催してほしい。」

 

◇事業内容:
2021 年8 月にハイチ西部を襲った大地震。その復興支援の一環として、AMDA はこれまで支援してきたボモン市と合同で、子どもたちを対象としたサッカー交流を実施した。『ボモン市震災一周年記念スポーツプロジェクト』と題して2 日間に渡って行われたこの催しは、それぞれの被災地域から3 チーム(総勢45 人)の子どもたちが参加。地震が発生した8 月14 日には、審判やスタッフを含む関係者全員で市内を行進し、試合前には、犠牲者を追悼して五分間の黙とうが捧げられた。

地震発生当初より、AMDA では、AMDA ハイチ支部が中心となり、医療および物資支援を実施。その後もボモン市長からの要請を受け、日本人調整員の派遣を含む計4 回の支援を行っている。
 

ハイチ・国内避難民キャンプ医療支援活動

◇実施場所: ポルトープランス市デルマ地区
◇実施日: 2022 年12 月28 日、31 日、2023 年1 月3 日、7 日(計4 回)
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
AMDA ハイチ支部6 人、避難民キャンプ運営者2 人

◇受益数数: 399 人
◇受益者の声:
「 このような支援を受けるのは初めて。毎月行ってほしい。」

 

◇事業内容:
2010 年の大地震以降、ハイチでは、長引く政情不安に加え、度重なる災害やギャング抗争等により、社会不安が深刻化。市民が安全を求めて国内の避難民キャンプに身を寄せる一方、海外の支援団体の多くは、治安の悪化に伴い、ハイチ国内での活動を見合わせている。こうした状況の中、AMDA ハイチ支部は、2022 年12 月末から年明けにかけて、首都ポルトープランスにある避難民キャンプで医療支援活動を実施。デルマ地区のキャンプを4 回に渡って訪問し、計399 人を診察した。医薬品の提供に加え、子どもたちには食べ物や飲み物を配布。近隣に病院もなく、薬を買うお金もない中で、住民たちからは、「このような支援はあなた方が初めて。」と喜ばれた。キャンプには浴室はおろかトイレすらなく、生活環境は劣悪を極める。住民たちからは、「こうした支援を毎月行ってほしい。」という要望が聞かれた。
 

ハイチ・第12 回歯科プロジェクト

◇実施場所: フォンデ・ネグレ
◇実施日: 2023 年3 月4 日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
AMDA ハイチ支部長およびスタッフ7 人

◇受益数数: 72 人
◇受益者の声:
「このプロジェクトをハイチ全土で行ってほしい。」

◇事業内容:
2023 年3 月4 日、ハイチ中部の都市フォンデ・ネグレにおいて、AMDA ハイチ支部が12 回目となる歯科プロジェクトを実施。会場となった救世軍の病院『Bethel Clinic』には、市内をはじめ、歯科医のいない周辺地域から計72 人の患者が集まった。例年を上回る盛況の中、歯科治療に加え、血圧測定や体温測定なども行われた。「人生で初めて歯医者に来た。」と語った男性患者のように、患者の中にはこれまで一度も歯科を受診したことがないケースは珍しくない。歯科医でAMDA ハイチ支部長を務めるフレデリック医師によれば、遠隔地には歯に問題を抱えた人が大勢おり、このプロジェクトを各地で行ってほしいという声が高まっているという。