JICA 日系社会研修(多文化共生推進/ 日系協力型)“ 日系サポーター”:ペルー人研修員受入
◇実施場所: 岡山県内、徳島県内、高知県黒潮町◇実施期間: 2022 年8 月2 日〜 9 月7 日
◇研修員: キャサリン・ドゥガルド(ペルー)
◇事業内容:
JICA 日系社会研修(多文化共生推進/ 日系協力型)通称” 日系サポーター” を通じ、南米ペルーよりキャサリン・ドゥガルドさんが来日。約1 か月間、AMDA にて「日本における防災と災害支援」について研修を受けた。本研修では、日本での行政レベル(国及び自治体)・民間レベル(企業・NGO)の防災や災害支援のノウハウを学んでいただくこと、更に得た知識や経験を元に、自国で研修員が実現可能な防災計画・災害支援計画を立案することを求めた。
キャサリンさんの最初の課題は、自国ペルーの過去の大規模災害や、災害対応などを調べ、日本語でAMDA 職員たちに発表することだった。職員たちもペルーについて、特に日本同様、大地震の発生が予想されていること、そしてキャサリンさんは予想される大地震に対し、同国内での防災意識向上を目指していることを伺った。キャサリンさんも職員たちも、本研修がより良い成果となるよう努めようと改めて思った。
その後、AMDA 事務所にてこれまでの災害支援、そして南海トラフ災害に向けた取り組みなどについて学んだ。これまで支援活動にご協力いただいた方々やAMDA ペルー支部と直接、あるいはオンラインでキャサリンさんに活動内容についてもお話しいただいた。特に、東日本大震災以降、復興に携わってこられている岩手県大槌町の方々とのオンラインミーティングでは、「郷土愛があったから、この土地で復興に携わった。」「震災・人の転出により人口が減り、コミュニティが崩壊した。今後はコミュニティを強化していきたい。」とのお話に、キャサリンさんは「『ここで生まれ、ここで育ち、ここに住み続けたい』という大槌町の人に感動して心がとても暖かくなった。この経験で私はもっと自分の力で変わりたいと思った。」と感想を述べた。
また、複数の機関・施設を訪問し、それぞれの立場での災害・防災対応について伺った。岡山県や岡山県総社市、岡山市西消防署では、それぞれの災害や防災の取り組みに加え、2018年に岡山県下で甚大な被害を受けた西日本豪雨での対応についてもお話をいただいた。また、川崎医科大学附属病院と岡山済生会総合病院では、DMAT( 災害派遣医療チーム) などの災害時の医療対応について伺った。
加えて、発生が予想されている南海トラフ地震・津波に対し、「AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム」として、AMDA とともに準備を進めている徳島県美波町をキャサリンさんは訪問した。町役場の担当者や美波町国民健康保険美波病院から南海トラフ災害発生時の対応計画をご説明いただいた。また、同県医療法人芳越会ホウエツ病院も訪れ、大きなヘリポートを備えているため、緊急時に被災者のケアと派遣を行うための非常に重要なアクセスポイントであることを学んだ。そして、同じくプラットフォーム協力自治体である高知県黒潮町には、AMDA 中学高校生会と訪問し、同町の職員から防災についてのご説明、そして同町内の中学校・高校より各校の取り組みについて伺った。その他、中学高校生会メンバーとアルミ缶で炊飯とカレーを作り、「逃げトレ」というアプリを用いて津波避難タワーまで避難する訓練にも参加。キャサリンさんも知識としてだけでなく、「生徒の参加を見て、災害への備えと対応の重要性を強化するのに役立つ、ペルーの学校でのより多くの活動を考え出すようになった。」と語った。
そして9 月7 日には、研修報告とペルー帰国後の防災・災害対応計画について発表を行う「最終報告会」を実施。この会には、本研修をご担当いただいたJICA 中国、「日系サポーター」事業を当法人にご紹介いただいたJICA ペルー事務所、キャサリンさんの職場の上司とご家族、そしてAMDA ペルー支部及びAMDA-MINDS の方々にもオンラインでご参加いただき、キャサリンさんは日本語とスペイン語で発表した。その後、JICA 中国による研修の修了式が執り行われた。キャサリンさんは、「災害への備えだけでなく、より良い人間になる方法を教えてくれる多くの人に会うことができた。日本の災害への備えと対応の重要性について学んだ貴重な知識と教訓を心に留め、心の中で日本の相互扶助への努力と情熱を鼓舞している。ペルーに戻ったら、もちろん私の経験をすべて同僚と共有するが、AMDA との協力を続け、将来の協力の方法を模索したいと思う。ペルーと日本の協力の機会をもたらすこのプログラムに参加することを許可してくれた JICA と AMDA に感謝しかない。Hasta pronto(またね)!」と研修後に感想をくれた。
研修は終了したが、これが終わりではなく、キャサリンさんとはペルーと日本の架け橋として、両国の防災及び災害対応にともに取り組んでいけたらと願っている。今回の研修にあたり、JICA 中国、JICAペルー事務所、そしてキャサリンさんの研修にご尽力いただいた関係者・関係機関の皆様に改めて御礼申し上げる。
インド・ブッタガヤで現地のNGO 学校への支援
◇実施場所: ビハール州ブッタガヤ◇実施日: 2022 年8 月8 日、11 月14 日
◇派遣者(11 月14 日のみ):
菅波 茂 / 医師 / AMDA インターナショナル代表、アルチャナ ジョシ / 調整員 / AMDA 職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成:
現地NGO ジナアミタブ、ジナアミタブ無償寄宿学校、AMDA 本部
◇受益者数: 8 月8 日文房具支援144 人(うち111 人には教科書も配布)
11 月14 日制服支援45 人
◇受益者の声:
「制服から古くなって着られなくなったので新しい制服をいただき嬉しい。」
「将来医師になりたい。」「海外で勉強したい。」「先生になりたい。」
◇事業内容:
インドで最も貧しいとされるビハール州で活動する現地NGO のジナアミタブは20 年前からフランスにあるNGO の支援を得て経済的な理由から学校に通えない子どもたちを無償で受けいれる寄宿舎学校を運営している。近年AMDA と活動を共にしてきたジナアミタブは新型コロナ感染拡大及び支援者の高齢化に伴って学校への寄付金が減ったため、AMDA 本部に支援の要請があり、AMDA は支援を決定した。
8 月には144 人の生徒の内111 人に新しい教科書を配布、全ての生徒に文房具を支給した。その他生理用ナプキン、応急処置用の薬、事務用の文房具などの支給も行った。
そして11 月には菅波理事長が同学校を訪問、45 人の生徒に制服を手渡した。制服を渡された生徒からは「制服が新しくなってうれしい。」と話されていた。職員や生徒は学校の玄関に集まり、自分たちが学内で育てた花の花束や首飾りで歓迎された。
インドでは毎年11 月14 日は、インドの初代首相ジャワーハルラール・ネルーの誕生日及び子どもの日としてお祝いをする習慣があり、学校では生徒たちが集まって歌を歌ったり、発表したりしていた。制服贈呈式の後には、理事長と生徒の交流の場が設けられ、生徒が夢を語る姿が見られた。
また、学校の敷地内に菅波理事長とAMDA 職員よりジャックフルーツの木とジャムンの木(インドのモンスーンシーズン限定の果物で、神の果実とも呼ばれているほど様々な効能を含んだ果実)を植えた。敷地内でたくさんの花や果物の木を植えられていて緑のまちづくりとして力を入れている。