​AMDA モンゴル内視鏡技術移転事業および救命救急研修(2023/10発行ジャーナル秋号) – AMDA(アムダ)
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​AMDA モンゴル内視鏡技術移転事業および救命救急研修(2023/10発行ジャーナル秋号)

AMDA 理事 難波 妙
 
AMDA モンゴル内視鏡技術移転事業ならびに救命救急研修が 6 月 27 日から 7 月 9 日までモンゴルにある日本モンゴル教育病院を中心に実施されました。
 

◆内視鏡技術移転事業

今回で 5 回目となる内視鏡技術移転事業は、本年度も小倉記念病院消化器内科主任部長の白井保之医師と AMDA 理事の佐藤拓史医師により(モンゴルの医師免許の下)、実施されました。今回モンゴル側から最も期待されたのは、同国初の内視鏡的硬化療法結紮術併用療法(EISL)による治療でした。日本から必要な器具・薬剤を持ち込み、モンゴルの内視鏡医とともに行いました。今回行ったのは、内視鏡治療とその他の治療を含め 29 例です。

 
また、現地での学会にも参加し、日本の内視鏡の様々な治療法を紹介しました。
 

〜日本モンゴル教育病院消化器内科部長 ビャンバジャブ医師のコメント〜

「今回、食道・胃静脈瘤の患者 9 人に対し、EISL(食道胃静脈瘤硬化療法)治療をモンゴルで初めて行い、成功させることができました。AMDA の皆さんには、この治療の将来的な実施についてアドバイスや提言をしていただき、今後、私たち自身で実践していくための方法をともに探りました。さらに、理論に基づいた臨床実習、シミュレーターを使った実習、外科・病理部門との合同カンファレンス、救命救急医へのセミナーと実習は非常に効果的でした」
 

〜小倉記念病院消化器内科主任部長 白井保之医師のコメント〜

「静脈瘤の治療の際、最初は私が関わったものの、最後はモンゴルの医師だけでも治療ができるようになっていました。今後モンゴルにおいて特定の医療機器と薬剤が承認され、普及していくことを願っています」
 

◆救命救急研修

2017 年よりコロナ禍の 2 年間を除いて、AMDA はモンゴルで佐藤医師による救命救急研修を毎年実施しています。今年は、7 月 3 日にモンゴル国立鉄道病院で、また 7 月 5 日に日本モンゴル教育病院で、実際に救急の現場で活躍する医師を対象に行いました。

モンゴル国立鉄道病院は、モンゴル国内の鉄道の駅近くに 27 ヶ所の支部の病院があり、診療の対象となる職員とその家族の人数は総勢 16,000 人を超えます。病院列車もあり、モンゴルの 21 ある県のうち 8 県を巡回しています。今回、同病院において、22 名の現場医師の参加の下、FAST(外傷の初期診療における迅速簡易超音波検査法)と骨髄輸液のセミナーが実施されました。 「次回は是非、佐藤医師に実際に列車に同乗していただき、研修を行ってほしい」との依頼がありました。

 
また 7 月 5 日に日本モンゴル教育病院で行われた研修にも 23 名の医師が参加しました。 尚、今回の活動については、駐モンゴル日本大使館の小林弘之大使を表敬訪問し、報告いたしました。
 

〜「今回の事業を終えて」 AMDA 理事 佐藤拓史医師のコメント〜

「2017 年 9 月の事業開始から 6 年。新型コロナ感染症などを乗り越えて、モンゴルの内視鏡、救命救急のいずれも、現地の医師たちの努力により、その技術力は格段に向上していることを今回大きな手ごたえとして感じています。当事業にご支援をいただいている多くの皆様に心からの感謝を表し、以上、報告といたします」