新理事長就任のごあいさつ(2024/1発行ジャーナル冬号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

新理事長就任のごあいさつ(2024/1発行ジャーナル冬号)

特定非営利活動法人AMDA理事長佐藤 拓史

2024年、新しい年を迎えました。平素よりAMDAに対し格別なご 支援を賜り厚くお礼申し上げます。この度、AMDA理事会にて理事長に 就任いたしましたことをご報告申し上げます。
 

 私は岡山で生まれ育ち、岡山市立中山中学校、岡山大安寺高校で学びました。当時は、アフリカでも東南アジアでも中東でも戦争が絶えることなく、世界では毎日多くの人々が犠牲になって命を落としていました。食べることすら難しい国々では、毎日栄養失調で亡くなっていく子どもたちが絶えません。本当なのか?どうして貧困はなくならないのか?高校生の頃、不思議で仕方ありませんでした。大学生になった頃から、世界で何が起こっているのか自分の目で見て知りたくて、世界中を旅することを始めました。自分で行動してみないと何事も納得できないと思っていたからです。たくさんの国を旅して必死に生きる人々の現実を知り、自分に何かできることがあるのか、医師になった今でも考え続けています。
 

ハリケーン発生に伴うコレラ感染拡大に
対応した緊急支援(2016年ハイチ)

 AMDAでは、これまで国内外の災害医療支援、海外への日本の医療技術移転に携わってきました。背景の異なる人たちと一緒に時間を共有することで深く理解し合い、初めて自分のできることが見えてきます。誰かが困っていたら、国籍や宗教の違いなど関係なく、自分のできることをするのは当たり前だと思っています。医師としてやることも、全く同じです。できることがある、それは嬉しいことです。

 

 菅波先生の築き上げたAMDAが、世界の大きな変化の中でも普遍的な意義を持ち続け、未来に継続していくこと。そのための役割を担うことが自分の天命かと考えています。まだまだ未熟ですが、いろいろな方々のご協力を賜りながら、少しずつでもお役に立てればと思っております。

 

 前任者と変わらぬご支援ご高配を賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

熊本地震発生後、現地の避難所で活動する
佐藤理事長(2016年)

 ウクライナ人道危機発生に伴う
緊急医療支援(2022年ハンガリー)

 


 さとうたくし◇1965年生まれ。岡山県立岡山大安寺高校を卒業。東京大学卒業後、浜松医科大学を経て救急医療、国内外の災害医療に携わる。2002年にアフガニスタン難民医療支援活動に参加して以来、スーダンでの内視鏡支援活動や、カンボジアでの医療支援活動等に従事。2015年のネパール大地震緊急支援を皮切りに、特定非営利活動法人AMDAの緊急人道支援活動に参加。熊本地震、ハイチにおけるコレラ感染拡大、熊本球磨地方豪雨、ウクライナ人道危機等の際に派遣される。医療技術支援としては、ネパール東部ダマックでの内視鏡技術支援、モンゴル国立医科大学病院での内視鏡技術移転、ならびにモンゴルの医療人材を対象とした救急医療セミナーやトレーニングを実施。2019年にはモンゴル保健大臣より名誉勲章が授与される。