プロジェクトオフィサー 金高 摩耶
現在もウクライナ国内では、深刻な人道状況が続いており、人々の生活は困難を極めています。AMDAは、ハンガリーの2団体およびウクライナの2団体と合同で、現地団体主導による継続的な支援を行っています。 なお、この活動は外務省の日本NGO連携無償資金協力事業としても採択され、ウクライナでの医薬品を含む物資支援などに充てられています。
セントミッシェル小児総合リハビリセンター(ウクライナ)
ウクライナ西部に位置するセントミッシェル小児総合リハビリセンターでは、近隣病院の腫瘍科のがん患者に対して、医薬品の提供を行いました。継続的な投薬が必要でありながら、厳しい経済状況が続いているため、患者からは、「支援が本当に嬉しい。生きる希望が湧いた」との声が聞かれました。このほかにも、児童養護施設への食料品や衣料品の配布、避難者受け入れ施設を対象としたベッドリネンの配布など、多岐にわたる支援を継続しています。
ダイナスティメディカルセンター(ウクライナ)
ダイナスティメディカルセンターでは、耳鼻咽喉科の疾患を抱える患者に対して、治療を行っています。患者数は平均して月35人程度で、治療には2時間を超える手術なども含まれます。手術用の麻酔薬が非常に高額なため、手術を受けられる患者の数は限られていましたが、この支援を通じて、より多くの方が手術を受けられるようになりました。また高品質の麻酔薬を使用することで、副作用が軽減され、短期間で仕事や生活に復帰できるようになりました。病院関係者は、「ウクライナの人々に質の高い医療を提供できていることを非常にありがたく思っている」と謝意を述べました。
ヴァルダ伝統文化協会(ハンガリー)
ウクライナ西部にあるトランスカルパティア州ベレホヴェ地域には、子どもを連れた母親が東部から多く避難しています。ヴァルダ伝統文化協会は、4ヵ所の施設に食材を寄付し、子どもたちとその家族に対して昼食を提供しました。一日あたり約720食を提供し、いずれの方からも好評で、大変喜ばれました。このほか、同地域の学校4校、病院3ヵ所、養護施設3ヵ所を対象に、7月より食料品や衛生キット等を継続的に配布しており、受益者の数は月平均で1,000人に上ります。
メドスポット(ハンガリー)
ハンガリーの医療団体メドスポットは、ウクライナ西部で、国内避難者に対する診察や、メンタルヘルスケアを継続して行っています。不安障害、睡眠障害、うつ病、PTSDなど、心理的要因が引き起こす症状が多く見られます。とりわけ思春期の子どもたちに長引く避難所生活に伴うストレス症例が多い印象です。
今後も引き続き、メンタル面に対するケアが必要とされています。