ウクライナ人道支援活動(2024/4発行ジャーナル春号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ウクライナ人道支援活動(2024/4発行ジャーナル春号)

プロジェクトオフィサー 金高 摩耶
 
 現在もウクライナ国内では、深刻な人道状況が続いており、人々の生活は困難を極めています。AMDAは、ハンガリー2団体およびウクライナ2団体と合同で、現地団体主導による継続的な支援を行っています。尚、2023年度の活動は外務省の日本NGO連携無償資金協力事業としても採択され、ウクライナでの医薬品を含む物資支援などに充てられました。2024年度も継続して支援活動を行っていきます。
 

セントミッシェル小児総合リハビリセンター(ウクライナ)

 ウクライナ西部ウジホロドにある、セントミッシェル小児総合リハビリセンターでは200人以上の子どもたちが継続的にリハビリを行っています。センターでは、暖かい雰囲気で子どもたちを迎え入れることを大切にしていますが、ウクライナの冬は非常に厳しく、物価も高騰しているため、光熱費に対してもAMDAの資金が活用されました。また、近隣病院のがん患者に対する抗ガン剤の提供も継続して行っています。東部マリウポリから避難してきた女性は、1人で2人の子どもを育てながら闘病しており、今回の支援に対して、「非常に嬉しい」と涙ながらに話しました。その他にも、児童福祉施設等に対して食料品や医薬品が提供されました。
 

ダイナスティメディカルセンター(ウクライナ)

 ウクライナ東部ハルキウにあるダイナスティメディカルセンターでは、ハルキウに避難してきた170人に対して、無料の診療と医薬品の提供を行いました。同センターは耳鼻咽喉科を専門としており、毎月約35人の患者に2時間を超える手術を行っています。ウクライナでは人道危機の影響で医療費や医薬品の価格が急騰しています。治療を受けた人々は、「質の高い医療を受けることができて非常に嬉しい」「AMDAと日本の人々に感謝している」との声を寄せています。
 

ヴァルダ伝統文化協会(ハンガリー)

 ハンガリーのキッシュヴァルダに拠点を置くヴァルダ伝統文化協会は、ウクライナ西部ザカルパチア州内の病院、学校、児童福祉施設などと連携し、ニーズに応じた物資・食料支援を行っています。10月からは教会の依頼を受け、高齢者が多く取り残されている村へ食料支援を開始しました。物価の高騰により年金は光熱費にしか充てられないうえ、若者の多くが村を離れて国外に避難したため、農作業をする人がおらず、食糧の備蓄が底をつきました。支援活動に参加するメンバーは、「人道危機の収束の兆しはまだ見えず、海外からの寄付がなければこの支援を続けることは不可能です」と述べています。
 

メドスポット(ハンガリー)

 ハンガリーの首都ブタペストに拠点を置く医療者団体メドスポットは、ウクライナ西部ウジホロドのシェルターおよびウクライナ国内の2つの団体と協力し、東部のハルキウ州やドネツク州で精神的ケアを提供するとともに、医薬品等の物資を届けました。避難者の中には、インフルエンザや糖尿病、高血圧といった生活習慣病のほか、不安障害、睡眠障害、PTSD、慢性的な痛みや震えとった人道危機の影響と思われる症状が多く見られました。支援に
参加した医師は、「医学的および心理的支援が引き続き必要だ」と報告しています。ウジホロドのシェルターでは、クリスマスに子どもたちにプレゼントを配布しました。子どもたちの喜ぶ姿を見て、人道危機が一刻も早く終わることの重要性を改めて感じたといいます。