内視鏡技術研修
小倉記念病院 医師 白井 保之
佐藤先生から「一緒にモンゴルに行こう」とお誘いいただき、それとほぼ時期を同時にしてコロナ禍となり実践できず 3 年が経過。ついにこの日が来ました。この度初めてモンゴルでの内視鏡技術移転プロジェクトに参加させていただきました。今回は、新しくオープンしたモンゴル日本教育病院でのミッションでした。話を聞いていた 3 年前と比べると内視鏡技術は確実に向上しているというのが最初の印象でした。まずは上部下部消化管内視鏡の指導を行いました。若い先生たちが実際の内視鏡をさせてもらえないという教育システム上の改善点を感じ、議論を行いました。佐藤先生を中心に行われた、持参したシミュレーターを用いた若い先生たちへの研修は、非常に彼らの刺激になっていました。
モンゴルで使用しているスコープは古い世代のものであり、その多くは故障して使用できないという現実があります。事実、本邦で行っている検査治療を行うための内視鏡が使用できないという問題がありました。癌やポリープ、静脈瘤の内視鏡治療についての講義や、実際の治療の研修では、皆さんの目は非常に輝いていました。 これからのモンゴルの医療、国を改善しようという熱きハートに感銘を受けました。安全な治療をするには技術の習得はもちろんですが、必要な道具を入手することも必要です。この度当院で使用している道具を紹介し、その有用性を実感してくれたと信じています。何よりモンゴルの皆さんの歓迎と熱い気持ちに感銘を受け、私自身の今後のモチベーションになりました。
救命救急研修
AMDA 理事 佐藤 拓史
モンゴル日本教育病院での内視鏡技術研修に引き続き、モンゴル保健省直属ウランバートルエマージェンシーサービス(通称 103)において、救命救急研修を行いました。モンゴルの救急車は、日本でのドクターカーに相当します。各救急車に救急医が同乗し、現場での診断と治療ができるので、救急医にはより高い知識と治療技術が求められています。
今回のセミナーではポケットエコーを用い、内科的診断や外傷の診断など、救急医に求められる様々な場面でのエコー診断を中心に行いました。近い将来に救急車にエコー装備が考えられている中での研修は、優先順位の高いものでした。また通常の方法で輸液ルートが確保できない場合、その際に必要となる骨髄内輸液の手技や、様々な状況を想定した客観的臨床能力を向上させるためのプログラムを実践しました。
研修を通してモンゴルの救急医と交流することで、自分が医師になった頃の原点を思い出します。モンゴルの救急医療を担っていく若き医師たちは、情熱と責任感に満ちています。「今よりもっとできるようになりたい」と願う気持ちがとても大きく、将来が楽しみです。
今回、彼らにとっては初めての経験も多かったようで、楽しそうに一生懸命に研修を受けていました。その素朴で素直な姿勢に、感銘を受けました。AMDA のプロジェクトとして、研修を継続的に実施していくことを期待されています。