フィリピン担当 岩尾 智子
コロナ禍においてフィリピンの非正規労働者とその家族の多くは、衛生環境が悪く、混み合う場所で仕事をしており、医療へのアクセスもありません。日銭暮らしのため、都市封鎖や経済の混乱により極度の貧困に陥るリスクと常に隣り合わせです。実はこのような状況下で生活する非正規労働者が労働市場の大部分を占めています。AMDAフィリピン支部は協力団体とともに非正規労働者へ「あなたたちを見放していません。いつもありがとう。あなた方がヒーローです」というメッセージを伝えるキャンペーンを行いました。[pagebreak]
第1弾は9月13日に行われ、フィリピン産業医学会(PCOM)マカティ支部らの協力のもと、AMDAフィリピン支部はマニラ首都圏マカティ市を通行する非正規労働者125人に感染対策セット(手指消毒液やマスク、ポカリスエット飲料など)と感染対策情報のチラシを手渡しました。
そしてクリスマスシーズンの12月8日、同支部は第2弾として、マカティ市に加え、マニラ首都圏の南東に位置するラグナの2カ所で非正規労働者、特に三輪駆動車運転手への支援を実施。PCOMマカティ支部・ラグナ支部やロータリークラブ・マニラ101らと協力し、パスタやマスク、手指消毒液などを合計100人に提供しました。
受け取られた方からは、「ありがとう。自分たちがしている仕事は大切だし、感謝されていると感じたよ」、「私たちのことを覚えてくれていてありがとう。今回物資を提供いただいて本当に幸せです。ありがとう」など、喜びの言葉をいただきました。
ナバロAMDAフィリピン支部長は、「非正規労働者はコロナ禍において弱い立場に置かれており、健康か生活の糧かという選択に迫られています。AMDAフィリピン支部をはじめとした民間団体は、非正規労働者が庇護の対象であることを認識し、支援を行いました。コロナ禍においても、非正規労働者は本当に私たちの生活に欠かせない人たちであり、ケアが必要です」と述べました。