AMDAプロジェクトオフィサー 橋本 千明
新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、岡山県では5月16日から緊急事態宣言が発令されました。自宅や宿泊施設で療養していた患者が、血中酸素濃度低下により、息苦しさを訴えて救急搬送される事例が増加していました。加えて、原則入院が適当である方でも、病床のひっ迫により自宅療養やホテル療養を続けざるを得ない状況でした。岡山県は夜間を中心に一時的に重篤化したコロナ患者を受入れ、酸素投与や点滴など応急的な処置を行うことができる「待機所」を設置しました。5月19日から試験運用が始まりました[pagebreak]が、運用上課題となっていたのは医療人材確保です。 すでにギリギリの状態で対応している県内医療機関よりスタッフを募ることは困難な状況で、AMDAは岡山県の要請を受け5月25日〜6月1日までのべ5日間2名の看護師を派遣しました。様々な団体や医療機関が集まっており、県や他職種と連携しながら、待機所の中は自然と意見交換や情報共有を行える雰囲気であり、相互扶助の気持ちをもって活動できる現場でした。活動内容としては、患者対応の他、今後の感染再拡大を見据え、立ち上げ時より作成されていたマニュアルの更新などを行いました。6月1日、「一時療養待機所」の運用は一旦休止となったため、AMDAからの派遣も一旦終了したものの、引き続きAMDAは岡山県と連絡をとり、必要に応じて協力を行っていく方針です。
以下、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野教授で岡山県クラスター対策班の専門家である頼藤貴志医師のコメントを紹介致します。
「今回の第四波は、岡山県が今まで経験したことがない感染拡大で、連日150人を超える感染者が発生していました。病床や宿泊療養のキャパには限りがあり、苦渋の選択で陽性者の方が自宅療養をせざる得ない状況でした。その中でのこの一時療養待機所の運用となりました。医療従事者の確保が最大の懸念事項でしたが、AMDAはじめ様々な医療機関が一丸となり、無事に一時療養施設を維持してくれました。本当に感謝申し上げます」