2019年度年次報告 平和構築 災害支援事業(復興支援活動)(2020/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2019年度年次報告 平和構築 災害支援事業(復興支援活動)(2020/7発行)

東日本大震災復興支援活動

概要
◇実施場所: 岩手県上閉伊郡大槌町、宮城県仙台市
◇実施期間: 2011年3月12日〜継続中

◇事業内容:
2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とする巨大地震、それに続く大津波により東北太平洋沿岸地域は壊滅的な被害を受けた。9年の月日の間に、生活の再建、地元の復興が進む中、地域の課題を抱え、震災の風化防止に努めながら、少しずつ前進している。その中で、AMDAは2019年度も引き続き以下の支援を行っている。
・医療・健康支援: AMDA大槌健康サポートセンター事業
・生活・自立支援: 仙台市震災ホームレス支援

AMDA大槌健康サポートセンター事業


◇実施場所: 岩手県上閉伊郡大槌町
◇実施期間: 2011年3月12日〜継続中
◇従事者: 佐々木賀奈子/AMDA大槌健康サポートセンター長、元持幸子/NPO法人つどい、教室事業講師3人
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成: AMDA大槌健康サポートセンター、NPO法人つどい
◇受益者数(2019年度): 407人

◇受益者の声:
「10年目という長い期間の中で、地域でつながり、地域で支えあうことがAMDA大槌健康サポートセンターの役割の一つとなって、互いに助け合い、健康を維持できるような場所であることが心のよりどころとなる。」

◇事業内容:
AMDA大槌健康サポートセンターも立ち上げから9年となり、地域の人々の健康を支えコミュニティの憩いの場となっている。震災後3回から4回目のコミュニティ作りの今(1回目避難所、2回目仮設住宅、3回目復興住宅、自宅再建4回目、復興住宅家賃値上げで引っ越し)各教室は物作りだけでなく、交流とコミュニティ作りの場にもなっている。継続した教室事業として、木工教室、さをり織り教室は意欲的で自主活動になりつつあり、健康増進事業として郷土料理教室、体操教室を実施している。古くから地元に伝わる味付けと安心安全な地元の食材を使った郷土料理は、シニア世代から若い世代に引き継がれている。

また、震災直後から現在まで毎年、現地に行き数々の支援を続けてくださっているおかやまコープは、岩手県大槌町にあるAMDA大槌健康サポートセンターを訪問し交流を続けており、東北の絆を深め東北を忘れないという取り組みが続けられている。

仙台市震災ホームレス支援


◇実施場所: 宮城県仙台市
◇実施期間: 2013年〜継続中
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成: NPO法人仙台夜回りグループ
◇受益者数(2019年度): 路上生活者(全体)3,940人、自立者支援(全体)延べ14,520人

◇受益者の反応:
定期的に開催される食糧支援会に、開始前から待ちわびていた空腹の多くの当事者たちが物資や食料を受け取り命をつないでいます。2019年末、仙台市内の路上生活者たちが仙台夜回りグループに投稿してくれた川柳の一部です。
「炊き出しのカレーライスに雪かかる」
「極寒のダンボール床背にしみる」
「ホームレスいつまで続ける我が人生」

◇事業内容:
震災を機に、職と住まいを失い仙台を中心に他の地域から集まってきた人たちの中には現在も、継続した仕事に就けず生活に困窮、路上生活に陥り、明日の生活どころか、今この時に「いのち」の危機に瀕している人たちもいる。地元のNPO法人仙台夜回りグループはそのような方々を支援している。

今年度は、AMDAより仙台夜回りグループに岡山米を計570?支援し、路上生活者に熱いお茶やボランティア手作りの弁当を食料支援会で提供し、岡山米が活用されている。厳寒の仙台の寒さと飢えの支援の一つとして主食である米の支援を今後も継続していく。

 

AMDA東日本復興支援「第16回復興グルメF−1大会in南三陸」


◇大会開催場所: 宮城県南三陸町(場所:志津川仮設魚市場)
◇大会開催日: 2019年11月24日
◇派遣者:難波 比加理/AMDA本部職員(理事)、竹谷 和子/AMDA本部職員(ボランティアセンター事務局長)、山田 章博/赤磐市より研修、長谷 貴子/AMDA緊急救援ネットワーク登録メンバー(看護師)、太田 浩子/AMDA本部職員(総務課長)
◇主な参加者・団体: 第16回復興グルメF-1大会実行委員会・復興グルメF-1大会運営委員会
◇参加者数: 1,207人(内ボランティアバス16名)

◇参加者(ボランティアバス参加者)の声:
「私たちに出来ることは、そう多くはありませんが、被災地を訪れ、自分で見たこと、感じたことを周りの人に伝えることで、また多くの人に災害を知ってもらえると思った。私もほとんど知らずに8年の年月が経ったが、このボランティアをきっかけに、東日本大震災のこと、また、近年起きた災害のことについてもっと知り自分の考えを深めたいと思った。」

◇事業内容:
東日本大震災の被災地の商店街などが丹精込めた料理を出品し、来場者が投票して人気ナンバーワンを決める「復興グルメF-1大会」(同実行委員会・同運営委員会主催、AMDA協賛)。被災商店街がひとつになり、復興に向けて知恵を共有する大会となっている。2019年度は第16回目の開催、宮城県南三陸町で開かれ、当日はグルメを販売する13のブースが並び、ガラガラ抽選会や餅投げ大会なども催され、雨天にもかかわらず1,000人を超える来場者で賑わった。

またAMDAは本大会の開催に伴って、11月22日から4日間岡山発着のボランティアバスを運行した。参加者はAMDA中学高校生会メンバーを含む16名。大会前日は、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館を訪れるなど研修も行った。大会当日は会場の準備や各ブースの手伝いをした。

 

ハイチ共和国・孤児への緊急食糧・物資調達事業


◇実施場所: ポルトープランス市内
◇実施時期: 2019年12月26日〜2020年1月31日
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成: AMDAハイチ支部、こどもの家プロジェクト、現地協力者4人、日本
人ボランティア1人
◇受益者数: 78人

◇事業内容:
AMDAは2010年ハイチ共和国で発生した地震の被災者への支援活動を実施、その後も復興支援として同国支部長マック・ケビン・フレデリック歯科医師を中心に毎年無料歯科検診事業を実施していた。

一方、同国は2018年より現政権と市民の間で大規模なデモが続いており、国際空港も閉鎖、また首都の市民サービス(行政・銀行・スーパーマーケット)の閉鎖より、一般市民のフラストレーションがさらに高まり銃撃戦など緊張が続いている。その情勢を受け、孤児や児童への支援を念頭に置きニーズ調査を実施。治安情勢悪化から海外の団体から受けていた支援が打ち切られたことにより食糧難の状況にあった、ポルトープランス市内の孤児院3カ所にこどもの家プロジェクトと合同で支援を実施することを決定した。

支援活動では、米や豆、パスタ、ミルクなどの食糧支援のほか、以前支給されたベッドなどの老朽化、マットレスや布団などの寝具がない中で就寝する状況、そして衛生環境の悪さからシラミや皮膚病なども確認されたことから、寝具や石鹸、漂白剤などの衛生用品も支援した。加えて、ヘルスプロモーションとして、こどもたちの手洗いや、こまめな入浴など生活指導及び洗浄・消毒方法を教え、感染症の予防対策へ、特に風土病となったコレラ対策を教えた。

子どもたちはこの支援に喜び、孤児院の代表者たちはプロジェクトの継続を求めていた。

また、この事業には、フィールド研究者として、AMDA高校生会に所属していた1人も参加している。