令和2年7月豪雨(熊本県球磨地方)被災者緊急支援活動(2020/7発行ジャーナル夏号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

令和2年7月豪雨(熊本県球磨地方)被災者緊急支援活動(2020/7発行ジャーナル夏号)

東亜大学医療学部教授・AMDA理事・AMDA南海トラフ災害対応プラットフォーム運営委員会副委員長 佐藤 拓史

 


被災状況

【活動概要】

2020年7月4日早朝、熊本県、鹿児島県に大雨特別警報が発令。その後、熊本県・球磨川が氾濫し、同県南部を中心に洪水が発生しました。この深刻な被害状況を受け、AMDAは、熊本県熊本市からの連携支援要請を受けた岡山県総社市から医療チームの派遣要請を受けました。6日、AMDAより医師1人、看護師2人、調整員(赤磐市職員)1人を含む、「岡山県総社市・岡山県赤磐市・AMDA合同チーム」が熊本県人吉市に向けて出発しました。その後追加で調整員を3人派遣しています。

チームは6日人吉市到着後、人吉保健所や地元医師会などが参加する「人吉球磨地域災害時保健医療対策会議」に参加。その日の夜から熊本県球磨村保健師からの要請により、医師1人・看護師1人が球磨村の避難所である「さくらドーム」の避難者を健康面から見守ることになりました。その後、球磨村の方100人以上が避難している人吉市立第一中学校にて避難者の見守り、柔道整復師による施術、鍼灸の活動も行っています。

【第1次チームで被災地入りした 佐藤拓史医師より】


診察状況

7/6午後に人吉到着後、人吉保健所にて医療活動チーム登録を済ませた後、人吉市立第一中学校の避難所に移動しました。人吉市や球磨村の関係各所、避難所内で活動している他の医療チームとの連携は非常に大切で、しっかりとコミュニケーションを持ちながら避難所の状況把握に努めました。また、どう寄り添っていけるかを自問しながら、避難してきた方々からお話も伺いました。夕方には、人吉保健所において人吉球磨地域災害時保健医療対策会議に出席し、各方面からの情報の整理と今後の活動内容の検討を行いました。更にその後に開かれたDMATやTMAT等の各医療チームの活動ミーティングにおいて、活動初日から球磨村の避難所であるさくらドームでの夜間当直を担当することになりました。AMDA医療チームの任務は、この災害を乗り越えていく地域の人々のお手伝いになることであれば、医療の枠を超えていける活動でもあります。被災地の復興を自分達で成し遂げていく地域の人々の強い意志を感じながら、地域の声を聞き活動を検討していきました。当初は、避難所内での環境作り、物資の支援、救護所医療を地域の医療機関と連携しながら行っていたが、その後、避難後の疲れやストレスを少しでも緩和できるよう鍼灸や整骨のプログラムを導入していきました。被災された方々の逆境に立ち向かっている姿を見て、この災害に負けることはないと確信しました。