東日本で猛威を振るった台風19号(2020/1発行ジャーナル冬号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

東日本で猛威を振るった台風19号(2020/1発行ジャーナル冬号)

10月12日(土)から13日(日)にかけて東海と関東、甲信越、東北地方を襲った台風19号により、各地で河川の堤防の決壊や氾濫による浸水、土砂崩れなどが多発し、非常に広範囲に甚大な被害をもたらしました。AMDAは長野県、福島県及び宮城県で支援活動を行いました。

「地域を支える医療を支える」長野での支援

プロジェクトオフィサー 橋本 千明

 


長野市千曲川流域の被災現場のようす

台風上陸前の10月11日より、台風15号で被害が大きかった千葉県に入り情報収集を行いました。

被害状況の検討の結果10月13日、千曲川の堤防決壊により甚大な被害が出た長野へ入り、最初の3日間は長野市内の2カ所の避難所で夜間の健康相談も含めた24時間体制で活動。長野市最大の避難所となった豊野西小学校を拠点とし、避難者情報の収集、ダンボールベッドの導入、衛生改善活動、特別に対応が必要な方のケアなどを長野市職員や長野市保健所、関係団体と連携をとりながら行い、20日に全ての避難者、要支援者情報を長野市保健所と後続の医療団体に引き継ぎました。


豊野西小学校避難所での活動

21日からは、長野市豊野町の賛育会クリニックの早期再開への支援を行いました。昨年の西日本豪雨で同様の被災をした倉敷市真備町のまび記念病院とよく似た状況で、1階部分にあったクリニックが水没。278人いた入所者の緊急避難が終了したタイミングで早期の事業再開を目指しAMDAへの要請を受けました。

まび記念病院村松院長、岡山県総社市の吉備医師会からも助言を受け、岡山での経験、教訓を長野に繋ぎ調整をすすめ、賛育会クリニックは11月5日に問診と処方からクリニックを再開、かかりつけの患者さんから喜びと安堵の声が聞かれました。

11月8日、地元医師会を含めた地域に関わる医療関係者を交え、互いに協力していく会合が開かれたのを見届け、AMDAは活動を終了しました。なお、長野県内の支援に関しては今年2月に連携協力協定を締結した長野県茅野市の諏訪中央病院の協力を頂きました。

 

福島県相馬市及び宮城県丸森町での支援

赤磐市研修職員 山田 章博

 


相馬市の避難所での避難者の
血圧測定の様子

台風19号により甚大な被害を受けた福島県相馬市に10月14日、AMDAと協力協定を締結する総社市及び赤磐市が職員を派遣することを決定。AMDAも調整員2人を派遣しました。

相馬市役所に到着後、相馬市長と面会、市内の被害や支援状況などの情報収集を行い、避難所となっているスポーツアリーナそうまにて、活動を実施することとし、看護師1名を増員。15日から18日まで健康相談や環境整備などの活動を行いました。

また、更なる支援ニーズ調査のため、16日に宮城県仙南保健所医療調整本部の会議に出席。保健所の要請により、同県丸森町の避難所の一つである丸森小学校で避難所の環境整備などの支援活動を行うこととなりました。

同避難所では17日に、他の支援者と協力し段ボールベッドを設置して、避難所内も土足厳禁としました。翌日から23日までは避難者の保健医療支援と避難所の環境整備を行いました。

 


宮城県丸森町小学校にて
鍼灸治療をするAMDA鍼灸師

また、22日より同小学校に鍼灸師2人を派遣、災害鍼灸活動の可能性を考慮し、調査及び調整を実施。そして23日、その結果を踏まえ関係者との最終調整の末、避難者を対象とする鍼治療の実施を決定し、その日から災害派遣医療チームの撤退と地元医療機関再開予定日であった10月31日まで災害鍼灸活動を行いました。

相馬市、丸森町どちらの避難所も撤収時には、多くの避難者の見送りを受け、たくさんの感謝と労いの言葉をいただきました。

なお、AMDAは10月16日からの16日間の丸森小学校での活動において、16人(看護師2人、理学療法士1人、介護福祉士1人、鍼灸師9人、調整員3人(AMDA職員含む))を派遣しました。