2018年度年次報告 健康増進 医療支援事業(2019/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2018年度年次報告 健康増進 医療支援事業(2019/7発行)

モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業


◇実施場所 モンゴル・ブルガン県ヒシグンドゥル村、ウランバートル市ソンギノハイルハン区
◇実施期間 眼科健診:2018年8月27日〜9月4日
眼科治療開始90周年記念式典:2018年10月4日

◇派遣者
菅波茂/AMDAインターナショナル代表、難波妙/AMDA GPSP支援局長、高裕子/川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科 視能矯正専攻教授、守田好江/視能訓練士、池本奈津希、佐々木静香、蜂谷雪乃、永井優美/川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科視能矯正専攻
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
AMDA本部、川崎医療福祉大学感覚矯正学科、人類愛善会モンゴルセンター、モンゴル眼科協会、AMDAモンゴル支部、

◇受益者数 眼科健診受診者 540人
眼科治療開始90周年記念式典参加者 250人

◇事業内容
AMDAは、2009年モンゴルでの眼科事業を行うことを決定。事前調査を開始、2010年には白内障手術の無償提供。当時ウランバートル眼科協会会長のブルガン先生(現、モンゴル保健省眼科部長)の要請を受け、子どもの目を守る事業を毎年、モンゴル眼科協会等と共同で行ってきた。

今年度もウランバートル市から400Km、車で8時間かかるブルガン県の2つの小学校とヒシグンドゥル村で286人、そして、ウランバートル市の隣の地区、ソンギノハイルハン区で254人の生徒の眼科健診を実施した。

その後、小学校の6歳の子ども2割に目に何らかの問題があり、半数は眼鏡で対応できること、そして、弱視や斜視などの病気が世界的なレベルで見ても多いことなど、この健診活動での知見を、保健省ならびに日本大使館で報告。保健省副大臣より、AMDAの長年の活動への感謝が述べられ、二人の先生方とAMDAに感謝状が手渡された。

2017年に、9月第三日曜日を子どもの目の日として正式に制定された。これまで眼科健診を受けた子どもの数は延べ1,563人、眼科の専門研修を受けた地元医師は延べ299人となった。

眼科治療開始90周年記念式典出席

10月4日、モンゴル眼科診療90周年記念式典がウランバートル市内で開催され、川崎医療福祉大学感覚矯正学科学科長高裕子教授とともにAMDAも同式典に招待、高教授と難波妙 GPSP支援局長が出席した。難波局長は開会式で、モンゴル眼科界をけん引し、AMDAの事業を常に応援してくださったモンゴル国立医科大学バサンフー教授、そしてAMDAとともに子どもの目の健康にご尽力くださったブルガン教授その他、ご協力をいただいた多くの眼科の先生方に心からの感謝を述べた。午後のセッションでは、高教授が過去3年間に行った6歳児の健診データをもとに、14%に異常が見られたこと。半数は正しい眼鏡によって視力を補えるが、残り半分は、弱視か斜視であり、特に弱視は4.7% (世界平均は2〜3%) と多かったこと。そして3〜4歳で視力検査をし、異常を発見、適切な治療をする必要性を訴えた。地方と都市部の格差はなく、ポータブルのゲーム機の普及などで 視力が悪くなる傾向があることなども発表された。

90周年記念誌には、AMDAの活動が紹介されている。会場には、10年間のAMDAとの活動経験を思い出として、なつかしさとともに語りかけてくださった眼科医も多く、ともに再会を喜び合った。また式典に出席されたモンゴル保健省セレンゲレル大臣からは、AMDAのこれまでの貢献に対し、「AMDAをよく覚えている。活動に感謝している。」とのお言葉をいただいた。