2018年度年次報告 健康増進 プライマリーヘルスケア(2019/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2018年度年次報告 健康増進 プライマリーヘルスケア(2019/7発行)

インド・ブッダガヤAMDAピースクリニック 母子保健事業


◇実施場所 インド・ビハール州ブッダガヤ地区
◇実施期間 2009年11月〜現在

◇派遣者(2018年度)
菅波茂/医師/AMDAインターナショナル代表、難波妙/調整員/AMDA GPSP支援局長、岩尾智子/看護師(米国資格)・調整員/AMDA本部職員
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
AMDA本部、AMDAピースクリニック

◇受益者数(2018年度)延べ343人
◇受益者の声
「義理の姉が妊娠した際、AMDAピースクリニックにお世話になっていた。その義理の姉に紹介してもらい私もお世話になっている。妊産婦健診を受けられ、薬もいただけるAMDAピースクリニックはありがたい。」

◇事業内容
AMDAピースクリニック (以下APC)は2009年にインド伝統医療であるアユルベーダクリニックとして、ビハール州ブッダガヤに開院。2014年からは、地域のニーズに対応し、母子保健サービスを提供している。

活動を行っているビハール州の農村部では、州人口の3分の1が1か月778ルピー(約470円)で暮らしている。主な産業は農業・酪農。ホテルが立ち並ぶブッダガヤの中心部ではホテルに勤める人たちもいる。字が読める人の割合(識字率)は全体で60%。女性の約半数は字が読めない。そのため、活動の中で妊産婦に情報を伝達する際には工夫が必要とされる。ビハール州では、10万人の出生あたり妊産婦208人(日本では34人)が死亡している状況がある。

このような状況に対応すべく、現在妊産婦を対象に提供している母子保健サービスは、主に3つの活動を指す。1つ目は医師が月2回行う「妊産婦健診」で、必要に応じて血液検査もしている。受診料は栄養サプリメント・医薬品を含め1回20ルピー(約30円)と、受診しやすい価格設定にしている。2つ目は「APCスタッフによる妊産婦宅訪問」。1軒1軒回り、妊産婦の相談にのることで、健康状態の確認と信頼関係を構築している。3つ目は「健康教育・栄養プログラム」、週1回APCスタッフが妊産婦参加者に健康に関する知識を口頭で伝える30分程度のクラスを開講している。トピックは、妊産婦からの要望に応えたり、シーズンによって流行しやすい病気などから主に選んでいる。クラスの後は、地元で安価に手に入る材料を使用した栄養満点の料理を参加者に提供している。

 

カンボジア健康啓発事業


概要
◇実施場所 カンボジア・トボンクムン州、プノンペン
◇実施期間 通年実施

◇事業内容
AMDAカンボジア支部は、株式会社山一観光様のご支援を受け、2018年度は主に下記3つのプロジェクトを実施した。

1)HIV/エイズ、性感染症関連プロジェクト
2)サッカークラブ活動
3)青少年フォーラム

1)HIV/エイズ、性感染症関連プロジェクト

◇実施場所 カンボジア・トボンクムン州
◇実施期間 2005年8月〜継続中

◇受益者数 (2018年度) 延べ約700人

◇事業内容
AMDAカンボジア支部は2018年度も引き続き、HIV/エイズに関する情報を様々な形で啓蒙活動を実施。HIV/エイズに関する情報の流布、教育やコミュニケーション用ツールの開発やHIV/エイズ予防キャンペーン用のTシャツ製作などを行った。

また、例年通りトボンクムン州保健局を支援する形で世界エイズデーを開催。「2025年までにカンボジアのエイズ問題を解決する」をテーマに、保健局関係者や自治体関係者、ボランティア、学校の教師や生徒達、HIV/エイズとともに生きる人々など、300人を超える人々が集まった。行進の後、保健局に場所を移し、音楽の演奏や寸劇の実演とともに、今年度の目標達成について発表が行われた。

2)サッカークラブ活動

◇実施場所 カンボジア・プノンペンなど
◇実施期間 2015年7月〜継続中

◇受益者数 (2018年度) 約20人

◇事業内容
AMDAカンボジア支部が主催するサッカークラブは、定期的に活動を行っている。2018年度はチェンラ大学と協力して新たなチームを結成し、学生の中から若手の選手を育成、大学の公式チームへと昇格させた。この後20名の選手を選出し、他大学との公式試合を行っていく予定。

3)青少年フォーラム

◇開催場所 カンボジア・チェンラ大学
◇開催日 2019年3月9日

◇参加者数 100人

◇事業内容
チェンラ大学およびNGO団体Action for Healthと共催で、リプロダクティブヘルスや性教育をテーマとした青少年フォーラムを開催。会場となったチェンラ大学には、100人の学生やボランティアが集い、性感染症、将来を見据えた家族計画、若者の皮膚疾患、骨粗鬆症等に関する基礎講義や質疑応答が行われた。参加者による周囲(家族や友人)への知識の拡散が期待される。