2018年度年次報告 平和構築 難民支援事業 緊急救援(2019/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2018年度年次報告 平和構築 難民支援事業 緊急救援(2019/7発行)

バングラデシュ・ロヒンギャ難民医療支援活動


◇実施場所 バングラデシュ・コックスバザール県 ウキヤ地区クトゥパロン難民キャンプ
◇実施期間 2017年10月〜2018年11月

◇派遣者(2018年度、派遣順)
吉井健哲/医師/AMDA緊急救援ネットワーク登録メンバー、橋本千明/看護師・調整員/AMDA本部職員、ミラ・カルダ/医師/AMDAネパール支部、河内順/医師/NPO法人TMAT・湘南鎌倉総合病院 副院長、鈴木裕之/医師/NPO法人TMAT・福岡徳洲会病院
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
AMDA本部、AMDAバングラデシュ支部、日本バングラデシュ友好病院、AMDAネパール支部、NPO法人TMAT

◇受益者数 (2018年度)
延べ22,418人、全実施期間: 延べ38,438人
◇受益者の声
「クリニックを継続してほしい。AMDA診療所にくると安心する。スタッフが皆素晴らしい人。」

◇事業内容
2017年8月25日にミャンマーで武力衝突が発生し、イスラム系少数民族・ロヒンギャ難民が大量にバングラデシュに逃れた。2017年9月、AMDAバングラデシュ支部がニーズ調査を実施。難民キャンプに救援物資や安全な飲料水、食料、住環境、医療サービスが不足していることが判明し、AMDAは1年間の期間限定で支援を行うことを決定した。

2017年10月、AMDAはAMDAバングラデシュ支部・日本バングラデシュ友好病院と協力して活動を開始、ロヒンギャ難民キャンプ最大のクトゥパロン難民キャンプに診療所を開設した。AMDAバングラデシュ支部より医療チームとして継続的に医師2人を含む8人程度を派遣しながら、週6日診療と医薬品提供を実施。1日平均120人の患者の診察を行った。また、空き時間を使って助産師が妊婦健診、出産後の経過観察を実施した。

2018年度も引き続き、AMDA多国籍医師団として日本・ネパールより医療者を派遣した。日本のAMDA本部は医師4人と本部職員1人を派遣した。そのうちNPO法人TMATとは合同事業とし、2018年11月に医師2人を派遣した。NPO法人TMATとの合同事業は2016年のハイチハリケーン緊急救援、2018年のインドネシア・スラウェシ島地震緊急支援活動に続き、3度目である。AMDAネパール支部は医師1人を派遣した。

活動にあたって、国内外から多くのご寄付を頂いた。バングラデシュでの国内協力として、バングラデシュ・ユナイテッド・コマーシャル・バンク(United Commercial Bank:UCB)が今年度も引き続き継続的に支援を下さった。UCB会長アニスザマン氏 (Mr. Anisuzzaman Chowdhury Ronny)は支援の動機について、1971年のバングラデシュ独立戦争時の自身の経験と重なったからと語った。何も持たず国を追われ、国籍がなく行き場のないロヒンギャ難民の姿は、幼い頃の自分の姿であり育った国は違っても同じベンガル人として何もしないという選択肢はなく、苦境にある難民に心を寄せたいという思いが1年にわたる継続支援に繋がったと話した。

受益者の難民からは、「生まれ育った国を追われたことは悲しくつらかった。電気をつけることもできず息をひそめて真っ暗な中で暮らさなければならなかった。今は光の中、電気がついた中で襲われる危険がなく過ごせることはとてもありがたい。しかし、いつかはミャンマーで安心して暮らせることが自分にとっての真の幸せだ。」「キャンプの暮らしは楽ではない。何もすることがない、仕事がないことが最も苦しい。しかし、安全が保障されない今のミャンマーには帰りたくとも帰れない。」と複雑な心境を語った。

難民キャンプにおいては、物資や医療、衛生面は徐々に整ってきており、緊急期から、長期の生活を見据えた支援の段階へと移行したことから、AMDAは2018年11月をもって医療支援活動を終了した。

2017年10月から2018年11月末までの約1年間で延べ4万人弱の患者を診療した。

 

ミャンマー国内避難民医療支援活動


◇実施場所 ミャンマー・ラカイン州シットウェイ避難民キャンプ
◇実施時期 2019年開始調整中

◇派遣者
菅波茂/医師/AMDAインターナショナル代表、難波妙/調整員/AMDA GPSP支援局長
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 AMDA本部、CRR(ラカイン復興委員会)

◇事業内容
AMDAはAMDAバングラデシュ支部・日本バングラデシュ友好病院と協力し、2017年8月にミャンマーからバングラデシュに移動したイスラム系少数民族・ロヒンギャ難民に対し同年10月より1年間、医療支援活動を実施した。同時に、AMDAはミャンマー国内にいる仏教徒の国内避難民に対しても支援活動の実施を決定した。

活動決定に際し、菅波代表と難波調整員は2019年2月ミャンマーに渡航、既にラカイン州にある国内避難民キャンプに避難してきている仏教徒に対して支援活動を行っているCRR(ラカイン復興委員会)と協議を行った。その結果、AMDAはCRRと協力し、キャンプに住む助産師への支援を行うことを決定、以下の内容で活動を行う予定である。

1. 仏教徒の国内避難民のキャンプにてCRRが所有しているヘルスポストに助産師を派遣。
2. ヘルスポスト内の医療設備の整備。
3. キャンプ内で出産する母と子の支援。(病院への紹介まで含む)
4. 3か月に一度のレポート提出。