ネパール内視鏡研修(2019/4発行ジャーナル春号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

ネパール内視鏡研修(2019/4発行ジャーナル春号)

AMDA理事 佐藤 拓史 医師


佐藤医師(右から2人目)と
研修を受けたネパール人医師と看護師

ネパール南東にあるインドの国境近くのジャパ郡、ダマック市のAMDAダマック病院で地元医師を対象に内視鏡技術研修を2月24日から3月1日まで実施しました。昨年に引き続き2回目の研修となりました。研修を受けた医師の一人であるディワス医師とは、2015年4月に発生したネパール中部地震で甚大な被害を受けたシンドゥパルチョック郡での緊急医療支援活動を通して知り合いました。ディワス医師は岡山県ローカルtoローカル事業(海外技術研修員)の制度により2016年8月から岡山済生会総合病院で3ヶ月間の内視鏡研修を修了しています。

今回は上部消化管内視鏡検査技術のレベルアップを目指した研修です。1年ぶりに見たディワス医師の内視鏡技術は驚くほど向上しており、彼の内視鏡に対する真摯な姿勢とその成果に深く感銘をうけました。ディワス医師が「日本から自分の恩師が来られる」と多くの患者さんに伝えていたため、5日間の研修期間中に19歳から77歳までの73名の多くの患者さんが内視鏡検査、治療を受けられました。

 


内視鏡研修の様子

ダマック市ではまだ内視鏡検査や治療が普及していません。例えば食道静脈瘤破裂の患者さんの内視鏡治療はこの地域では行えず国境を越えてインドにまで搬送しています。緊急を要する治療が必要な患者さんが搬送中に命を落とす事もあります。このような現状の中で治療すれば助かる命をどうにかしたいと考える地元医師達の要請に応えるため、AMDAのネパール内視鏡研修がスタートしました。

今回のセミナーを通じて、技術を伝え残していくミッションは次の世代の医師達に広く受け継がれていくという重要な意味を持つと痛感しています。未来へつながっていくミッションです。ネパールの医師達が日本の医療技術を学んで自立し、自力でより多くの治療ができるようになろうとする姿勢は、私の医師を志した原点を思い出させてくれました。日本で当たり前のように行われている内視鏡検査や治療でネパールでも多くの命が救われるため、ネパール内視鏡研修を継続していくことが重要であると強く感じています。