2017年度年次報告  生活支援 有機農業事業(2018/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2017年度年次報告  生活支援 有機農業事業(2018/7発行)

AMDAフードプログラム


◇実施場所 岡山県新庄村、インドネシア・マリノ村
◇実施期間 2012年4月1日〜継続中

◇従事者
アロイシウス・シタミ/AMDA連携野土路農場長、田中俊祐/AMDA本部職員

◇事業内容
「食は命の源」をコンセプトに、アジアに有機農業を普及することを目的としたAMDAフードプログラムを2012年度より開始している。同年度より岡山県真庭郡新庄村の野土路地区に農場を開設、アヒルを使った無農薬有機稲作栽培を中心とした農業を実施している。

◆野土路農場

2012年のAMDA野土路農場(現AMDA連携野土路農場)開設以降、アヒルを使って無農薬でコシヒカリやヒメノモチ、野菜を栽培している。

今年度は6月3日には稲の苗を手で植える、昔ながらの田植え祭を実施。JR岡山駅からバスで現地に到着した12人が参加し、7アールの水田に入り、コシヒカリの苗を約1時間かけ、横に張った糸の目印に植えていった。大半は初めての体験だったが、次第に慣れていった。続いて、害虫駆除に役立つ生後3日ほどのアヒル約100匹を次々と水田に放鳥した。そして、三味線や太鼓の音に合わせた「新庄田植え踊り」で雰囲気を盛り上げた。

尚、AMDAは毎年プロジェクト関係国の在日公館を表敬訪問し、野土路農場で収穫した米を贈呈しているが、今年は悪天候等によりAMDAフードプログラムが目指す米として同じ野土路地区の無農薬米を贈呈した。

◆マリノ村有機農業実践圃場

野土路農場では、2013年にインドネシアから研修生イカワティ氏を受け入れた。イカワティ氏は半年間、新庄村で研修を受けた後、彼女の故郷であるゴワ県マリノ村にて、現在も有機農業の普及活動を継続している。

このマリノ村は山岳地帯にある農村地帯で農業が主な産業だが、ほとんどの人たちが農業だけでは生活できず、稲が育たない乾季には近くの都市に数か月間出稼ぎに出ている状況である。この状況をふまえ、AMDAは2014年に有機農業普及事業のパイロットファームとしてAMDAマリノ農場を開設し、イカワティ氏と地元の若手農家ジャマル氏がスタッフとして常駐、これまでに有機栽培にて米を作り、翌年には駐在の日本人を中心にマリノ農場の米は通常の3倍の値段で完売した。この評判により当初1軒だった有機栽培農家は2018年3月現在12軒に増加した。イカワティ氏は「今はまだ販売にAMDAからの力を借りているが、将来農家自身が販売のすべてを手掛けられるようになれたら」と、他の農家に肥料のやり方や稲の害虫防除等について助言を行っている。