東日本大震災復興支援活動
◇実施場所 岩手県上閉伊郡大槌町、福島県双葉郡浪江町
◇実施日 2011年3月12日〜継続中
◇派遣者 AMDA本部職員含む延べ23人(2017年度)
◇受益者数 1,835人(2017年度)
◇現地協力団体
AMDA大槌健康サポートセンター、一般社団法人Tsubomi、なみえ復興祭実行委員会、第15回復興グルメF-1大会実行委員会、復興グルメF-1運営委員会、NPO法人つどい
◇事業内容
2011年3月11日にマグニチュード9.0の大地震が発生し、津波による甚大な被害をもたらした東日本大震災から7年が経過した。AMDAは緊急医療支援活動として2011年4月末までに延べ149人を派遣。その後も途切れることなく復興支援事業を継続して実施、被災者の方々と手を取り合って復興へ向けた着実な歩みを進めている。
◆医療・健康支援
岩手県大槌町で2011年12月からAMDA大槌健康サポートセンターを開所以来、心身共に健康を目指した中高年のための体操教室や地元の食材を使う郷土料理の教室を続けている。近年では、ひょうたんランプの木工教室、スカーフや小物を作るさをり織り教室、竹かごに布を張る一閑張り教室などの手芸教室を開催し、地域の人の心のよりどころとなり教室での対話が住民同士の支えとなるコミュニティの場になっている。
また、2017年3月設立された一般社団法人Tsubomiは、AMDAの委託事業として若い世代に向けた母と子のための教室事業を展開しており、人口減少による少なくなった親子同士の交流の場としている。
◆生活・自立支援
東日本大震災の被災地・福島県浪江町の町役場敷地内で10月7日、地域活性化イベント「復興グルメF-1大会」と「なみえ復興祭」が同時開催され、多くの住民でにぎわった。「復興グルメF-1大会」は、被災地の商店街から出品された自慢の逸品を来場者が味わい、投票でNO.1を決める催し。15回目の開催で、同大会実行委員会が主催、AMDAが協賛した。「なみえ復興祭」は、東京電力福島第1原発事故で、全域が帰還困難区域となっていた浪江町が2017年3月31日、一部で避難指示が解除されたのを受けて企画。震災後、同町では初の復興祭となった。
当日はグルメを販売する11のブースが並び、雨天にもかかわらず午前10時の開会前には100人を超す行列ができる盛況ぶり。約1時間後には「売り切れ」の張り紙が相次いだ。当日900人以上が来場した。
AMDAはイベントを支援するため、ボランティアバスを運行、前夜に岡山を出発した。参加者22人は10月7日、各ブースに入って来場者にグルメの購入を呼び掛けた。翌8日は浪江町を巡るスタディーツアーを実施、その後帰路についた。
◆教育支援
東日本国際奨学金事業開始から7年間、医療従事者を目指す学生を対象に返済義務のない奨学金を1人年間18万円支給し、奨学生の進路を広げるチャンスとなった。岩手県立大槌高校2人への支給を最後に、この奨学金制度は今年度をもち終了するが、今までに延べ 315人、総額5,670万円の奨学金を支給した。奨学金受給者の半数以上が、既に社会に出て医療者として活躍している。
また、岡山県立大学の学生と岡山県内の学生ボランティア受け入れとして、岩手県大槌町内のコミュニティプレイスの清掃作業や町民との交流会の調整をし、学生にとってボランティア体験を通じて地元の方との交流と東日本の復興の様子を知る貴重な機会となった。
ネパール地震復興支援活動 「障がい者支援プロジェクト」
◇実施場所 ネパール・カトマンズ郡、ラリトプール郡、バクタプール郡、ドラカ郡
◇実施期間 2015年6月〜継続中
◇派遣者
西嶋望/理学療法士/AMDA委託(ネパール在住)
◇受益者 93人(2017年度)
◇現地協力団体 Center of Independent Living Kathmandu(CIL Kathmandu)
◇受益者の声 「AMDAの障がい者支援の事業のおかげで生活活動の範囲が広がった。ありがとう。」
◇事業内容
2015年4月25日にネパール中部を震源とするマグニチュード7.8の大地震が発生。さらに、5月12日にはマグニチュード7.3の余震が発生し、被害が拡大した。AMDAは発生直後から開始した緊急医療支援活動に引き続き、5月26日から復興支援活動を実施している。
2017年4月から2018年3月まで第三期としてネパール地震復興障がい者支援事業を継続。ネパール国内で調達した車いす5台に加え、日本で使われなくなったものを整備し送られてきた14台を、カトマンズ郡及びほかの被災地に住む障がい者に贈呈。また、自立生活に向けたアドバイス、ピアカウンセリング、モバイルキャンプなども実施した。更に、防水シーツ、カテーテル、ポータブルトイレ、消毒液、カテーテル用ジェル、薬品等 福祉用具・衛生管理用品の支援も行った。
障がい者の真の自立のためには障がい者本人、家族だけではなく、近隣住民の障がいへの正しい理解と協力が不可欠である。そのため、今期では「IDOBATA GAFU Program」という、家の外で近隣住民と井戸端会議のように障がいについて気楽に語り合える場を意識的に作り出し、専門家がその場で話をすることで正しい理解と協力の促進に努めた。
熊本地震復興支援:益城町役場職員への鍼灸治療
◇実施場所 熊本県益城町
◇実施時期 2017年7月20日〜継続中
◇受益者 293人(2017年度)
◇受益者の声
肩がすっきりし、気分がゆったりした。体調もすこぶる良くなった。(受診者)
復旧から復興に代わる過渡期なので、なるべく長く継続してほしい。(益城町役場担当者)
◇事業内容
熊本地震から2年余り。震度7の地震を2度も観測した熊本県益城町で、AMDAは熊本鍼灸チームを中心に益城町役場と協力し、役場職員の治療を実施している。被災者でありながら復興事業に携わることで時間の経過とともに心身は限界に追い込まれつつあることから、災害鍼灸事業の一環として支える人を支えることを目的として2017年7月20日から開始。
治療は非常勤を含めた役場職員を対象にAMDA災害鍼灸熊本チーム5人が対応。毎月第2、第3木曜日の午後に実施している。1日あたりの施術人数は15人。災害鍼灸チームは、産業医、保健師、医療関係者による益城町安全衛生委員会とも協力し、鍼灸治療の結果を共有して包括的な健康支援を目指している。
AMDAハイチ地震復興支援「無料歯科検診プロジェクト」
◇実施場所 ハイチ・フォン=デ=ネグル
◇実施時期 2018年2月3日
◇受益者 42人
◇受益者の声
「素晴らしいプロジェクト。今後も継続してほしい。」
◇事業内容
2010年1月のハイチ大地震以降、復興支援として毎年恒例となったAMDAハイチ支部による無料歯科検診プロジェクトも8回目の実施となった。今年も昨年同様、フォン=デ=ネグルにある救世軍運営の病院にて実施した。当日は地元フォン=デ=ネグルをはじめ、地方からの患者も多く足を運んだ。歯科医であるケビン・マック・フレデリックAMDAハイチ支部長を始めとしたプロジェクトチームは、口腔のチェック、洗浄、歯の修復や抜歯などの処置を施した。また患者達に歯の重要性について説明、歯の健康を保つ上でのポイントを教示したところ、患者達も大変満足した様子だった。
診察の際、AMDAとAMDAハイチ支部に関する紹介が行われた。2010年から現在まで、AMDAハイチ支部が歯科プロジェクト、コレラ対策、義肢支援、スポーツ交流などのプロジェクトを行ってきたことに触れ、2010年12月のコレラ対策緊急救援、2016年10月のハリケーン被害に対する緊急救援についても強調した。
終了後、患者から今後も同プロジェクトの継続を望む声があった。「これが都市部のみならず、地方でも毎年行われればこの上ない」との感想も聞かれた。事実、地方では、歯の衛生に関する知識が十分でなく、歯科検診に関する基本的な知識が欠如している。今回地方より参加した人たちは、口腔の衛生に関する意識を改め、より頻繁に歯科検診に通いたいと話した。また、地元フォン=デ=ネグル在住の女性は、今回でこの検診を受けるのは四回目であり、「毎回満足している」とのことだった。
AMDAハイチ支部のケビン・マック・フレデリック支部長は、「このような喜びの声を聞くことができたのは嬉しい限り」と述べ、定着しつつあるこのプロジェクトに確かな手ごたえを感じている様子だった。