- AMDAフードプログラム
- インドネシア口唇口蓋裂無料手術事業
- インド ブッダガヤAMDAピース・クリニック
- カンボジア健康啓発事業
- パキスタン家庭教育プログラム
- モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業
AMDAフードプログラム
◇実施場所 岡山県真庭郡新庄村、インドネシア スラウェシ島マリノ村
◇実施期間 2012年4月1日から現在
◇従事者 アロイシウス・シタミ/野土路農場長、田中俊輔/AMDA本部職員ほか
◇事業内容
「食は命の源」をコンセプトにアジアに有機農業を普及することを目的とした事業。岡山県真庭郡新庄村野土路地区に農場を開設し、アヒルを使った無農薬有機稲作栽培を中心とした農業を実施している。
野土路農場
岡山県真庭郡新庄村にある「AMDA連携野土路農場」は、アジアへの有機農業の普及・啓発を目的に2012年から始まった取り組み。アヒル農法による無農薬でコシヒカリなどの米と野菜を栽培している。
9月22日に恒例の収穫祭が開かれ、地元や岡山市などから約50人が参加。コシヒカリ(78アール)と新庄村特産のヒメノモチ(12アール)が黄金色に染まった農場で、地元の子どもら20人が田植え歌と踊りなどを披露した。
AMDAはプロジェクト関係国の在日公館を表敬訪問し、野土路農場で収穫した有機米を贈呈した。
マリノ村有機農業実践圃場
現地農家の生活向上や生産量増加のため、インドネシアのスラウェシ島マリノ村バトゥラピシ地区で実施している。
同地区は高地にあり、大半が面積の小さい棚田であるため大きなトラクターが入れず、人力や牛を使って耕作している。生産性が低く、貧しくて学校に通えない子どもや病気になっても病院に行けない人たちがいる。
そこで、AMDAは2013年にマリノ村から有機農業の研修生2人を野土路農場(岡山県新庄村)に招へい。研修を終えた2人を中心に2013年、AMDA有機農業実践圃場をマリノに開所した。その後、AMDA本部職員がマリノに出向き、フォローアップ研修を継続している。2015年には有機栽培米を通常の3倍の値段で販売することができ、農家に大変喜ばれた。
今回は2016年2月2日から4日間、職員がマリノを訪問し、プロジェクトのモニタリングを行った。その結果、新たに6人が有機栽培を希望していることが分かり、肥料などのアドバイスや水田の測量を実施した。この活動の広がりはインドネシアの環境を守ることにもつながり、AMDAは支援活動を続けていく。
インドネシア口唇口蓋裂無料手術事業
◇実施場所 インドネシア・パレパレ、バル地区
◇実施期間 2016年5月9日から11日
◇派遣者 ニッティヤン・ヴィーラヴァーグ/調整員/AMDAインターナショナル事務局長、
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成
総勢およそ30人(台湾IHAの医療チーム(9人)、AMDAインドネシア(1人)、現地Celebes Cleft Centre (CCC)の医療チーム(9人)、現地の看護師(約10人))
◇現地協力団体 Celebes Cleft Centre (CCC)、台湾IHA(注:現地ではないが)
◇受益者数 23人
◇事業内容
AMDAと台湾IHAは合同で5月9日から3日間、インドネシア・スラウェシ島東部パレパレとバル地区で、口唇口蓋裂の患者を対象に、無料で形成・再建手術を行った。このプロジェクトは昨年に引き続き、AMDAインドネシア支部が持つ広域的なネットワークにより実現した。
AMDA本部から調整員1人、台湾IHAから9人のスタッフが合同チームとして参加。台湾チームは形成外科医3人、麻酔医2人、手術室看護師3人、調整員2人で構成し、現地の口腔顔面筋を専門分野とする外科医4人とともに手術を実施。無事に今回のミッションを終えた。
パレパレでの手術は、いずれも口蓋形成、喉頭弁、鼻の整形と複雑なものが多く、患者の術後の人生を大きく左右するものばかりだった。バルの政府系病院で活動をした合同チームは地元の市長から来賓として歓待をうけ、市の宿舎に泊まった。
手術を受けたのは23人だったが、いずれも市長、病院長とともに今回のミッションに深い謝意を示した。
また、2015年に手術を受けた女性がチームを訪れ、近況報告をした。術後に自信を取り戻した彼女は職を得ることができ、人生の伴侶にも出会うことが出来たそうで、充実した人生を送っている様子だった。
◇受益者の声 手術を受けることができて人生が変わった。本当に感謝したい。
インド ブッダガヤAMDAピース・クリニック
◇実施期間 2009年11月から現在
◇実施場所 インド国ビハール州ブッダガヤ
◇派遣者 菅波茂/医師/AMDAグループ代表、難波妙/調整員/AMDA GPSP支援局長、ニッティヤン・ヴィーラヴァーグ/調整員/AMDAインターナショナル事務局長、橋本千明/看護師/AMDA本部職員、岩本智子/看護師/AMDA本部職員ほか、現地雇用スタッフにより運営
◇現地での参加者を含めた事業チーム構成 看護師1人、補助員1人、運営者1人、訪問の産婦人科医と歯科医(各1人)、
◇現地協力団体 (主にAMDAピース・クリニックとSAIJO INARISAN BODAIISSHINJI BODHGAYAが運営)
◇受益者数 500人以上(2016年度)
◇事業内容
2009年に開院したAMDAピース・クリニックは、インドで最貧といわれるビハール州ブッダガヤにある。この地は仏教の聖地として知られ、世界遺産の大仏塔を中心に各国の仏教寺院が立ち並んでいる。
同クリニックは仏教施設しか建設が許可されない地域にあることから、岡山市太生山一心寺様のご協力のもと、お寺付属の病院として慈善事業をする信託財団を設立して運営している。
開院当初はアーユルヴェーダを中心に診療していた。しかし、インドで最も貧しい同州では自宅出産が多いことから2014年10月、母子保健に特化した活動に転換した。
現在は現地の看護師、ローカルアシスト、事務局スタッフ計3人を中心に、地域の妊産婦の自宅を毎日訪問し、栄養と保健の指導を無料で行っている。さらに第2、4日曜日には、地元の経験豊富な産婦人科医による妊婦健診を1回20ルピー(約40円)で実施している。これまで72人の母親が同クリニックに登録し、現在も約50人が利用している。
2016年1月からは、月1回の歯科検診に取り組んでいる。
◇受益者の声 妊婦への訪問や出産に関する的確な助言など、きめ細かなケアに女性達は喜んでいる様子だった。
カンボジア健康啓発事業
◇実施場所 トボンクムン州メモット
◇実施期間 2016年4月から2017年3月 通年継続
◇現地事業チーム構成 AMDAカンボジア支部、
◇現地協力団体 トボンクムン州保健局、地方保健局、地方自治体、エイズ患者やボランティア教育者。
◇受益者数 260人(キャンペーン参加人数)10人(サッカークラブ員)
◇事業内容
AMDAカンボジア支部では、「HIV/エイズプロジェクト、健康推進キャンペーン」「AMDAカンボジア・サッカークラブ」の2つのプロジェクトを実施した。
HIV/エイズプロジェクト、健康推進キャンペーン
性感染症とHIV/エイズの基礎知識普及のためのパンフレット1000部とTシャツ200枚、を作成し配布した。トボンクムン州保健局と協力して、ボランティア教育者育成センターで、ワークショップを行った。HIV/エイズ患者やボランティア教育者のネットワークを通じて、HIV/エイズ予防への意識を深め、啓蒙を図ることを目的としている。「2020年までにHIV/エイズ疾患をカンボジア全土から根絶する」というカンボジア政府の目標に貢献した。
AMDAカンボジア・サッカークラブ
AMDAカンボジア・サッカークラブでは、隔週でメンバーが練習を行い、毎月他のクラブと試合を行っている。カンボジア国内におけるスポーツの向上を図り、若者に対してスポーツへの更なる参加を呼び掛けることで、彼らが薬物依存や犯罪、暴力に走らぬよう阻止することを目的としている。
◇受益者の声 各セクターが包括的に協力し合うことは、HIV/エイズの予防、管理、啓発、コミュニケーションを促す上で大変効果的であるといえる。このキャンペーンはHIV/エイズと共に生きる人々をケアする上で、彼らにより広く深く関わることに繋がるであろう。
パキスタン家庭教育プログラム
◇実施場所 パキスタン タッタ県サクプール地区・ミルプール・サクロ
◇実施期間 2014年7月から継続中
◇現地協力機関 National Rural Support Programme(NRSP)
◇現地協力団体の声
中間報告の結果、本プログラム対象者である未婚女性の知識や生活習慣の面で大きな変化をもたらし、またその家族、コミュニティにも波及したことが明らかになりました。
◇受益者数 (2016年4月〜2017年3月) 143人 *新しい活動地への移行のため予定人数より少ない。
プログラム立ち上げの経緯
2013年9月にAMDAがパキスタンにおけるポリオ撲滅活動の事前調査を行い、2014年1月にAMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、現地NGOであるNational Rural Support Programme(NRSP)による第二回調査が行われた。調査では家族の健康管理の中心的な役割を担うのは女性であり、ポリオに関する教育を含む健康教育をすることの重要性が分かった。
そこで、日本の学校で通常行われている健康教育を受ける機会がないへき地に住む未婚女性を対象に「パキスタン家庭健康教育プログラム」をAMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、現地NGOの3者合同で実施するに至った。
開始から現状調査
2014年6月に茅ヶ崎で行われたプログラム調印式後から2015年2月までは準備期間で、調査や研修用教材の作成を行った。続いて現地NGOが中心となり、プログラム実施地域における健康に関する知識・意識調査を実施。講師用と受講者用の教材を開発し、講師の選考やプログラム対象者である未婚女性の登録も行った。
中間報告
プログラム開始から2年たった2016年8月、タッタ県サクプール地区・ミルプール・サクロにて、未婚女性に推奨した習慣がどのくらい地域に定着したかを評価するため、現地NGOが中心となって調査を行った。
調査の結果、知識の普及、習慣の改善は未婚女性だけではなく、その家族、地域にもみられることが分かった。字の読み書きができない人が大半を占め、講義も1つのトピックにつき60分から90分という限られた時間の中で行っている当プログラムにおいて、各項目で程度に差はあるものの改善傾向にある、という結果が出た。
一方で、課題もある。多くの新しい知識を短時間で教え、未婚女性に定着させるのは非常に難しく、今後もフォローアップを行っていく必要がある。また、個人の衛生観、栄養面などのトピックに関しては著しい改善が見られなかったため、さらなる取り組みが必要。現在の活動地では未婚女性が不足しているため、今後は、パキスタン南部のシンド州タンドムハマッドカンで活動を継続していく。
モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業
◇実施場所 モンゴル ウランバートル、ウブルハンガイ県グチンウス村
◇実施期間 2016年8月31日から9月5日
◇派遣者 高裕子/川崎医療福祉大学感覚矯正学科教授、守田好江/日本視能訓練士協会顧問、菅波茂/AMDAグループ代表、ドンラオ/AMDAシンガポール支部長、難波妙/AMDA GPSP支援局長
◇現地事業チーム構成、AMDAモンゴル、モンゴル眼科協会、アイリスツアーズ
◇現地協力団体 モンゴル保健省、保健局、教育局、人類愛善会モンゴルセンター、ウブルハンガイ県グチンウス村、City Optics
◇受益者数、グチンウス村幼児、小学生の167人と、中高生と成人の54人 ウランバートル市内19人
◇事業内容
AMDAは8月31日から9月5日までの6日間、モンゴルでの視能訓練技術移転事業を実施した。2010年から毎年、日本から専門家を派遣して子どもの目の健康を守るためのセミナーや健診などを行っている。
今年で7回目となる今回は、モンゴルの首都ウランバートルから南西500キロにあるウブルハンガイ県グチンウス村で、子どもを中心とした眼科検診を実施した。その結果、小学生では外斜視4人、内斜視3人、目が揺れている眼振1人、角膜への傷が1人がいた。保護者からは「遠くからわざわざ来ていただいた。目はとても大切」と感謝の声が聞かれた。
9月3日にはウランバートル市内で、これまでの検診で問題があった子ども19人の再検査をした。この中には2年前に検診を受けた児童2人もいた。家庭と学校が協力して子どもの目を守る姿勢に、小さな手ごたえを感じた。
9月5日には、AMDAとモンゴル眼科協会主催の「子供の眼の健康」についてのパネルディスカッションがモンゴル保健省で開かれた。子どもの眼科検診の必要性を社会に訴え、定期検診の制度化を目指す試み。
モンゴル保健省は就学前の眼科検診を約束し、健診の規定を策定するよう指示した。眼科協会会長のブルガン医師は、日本の支援者とAMDAに感謝の気持ちを示したうえで「AMDAと一丸となって尽力できたことを自らの喜びとしている」と述べた。AMDAもこれまでの事業が、モンゴル側の熱意とお互いの深い尊敬・信頼のパートーナーシップのもとに続いていると実感している。
◇受益者の声 「遠くからわざわざ来ていただいた。目はとても大切」