2015年度年次報告 中長期継続事業(2016/7発行) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

2015年度年次報告 中長期継続事業(2016/7発行)

AMDAフードプログラム

◇実施場所 岡山県真庭郡新庄村、インドネシアスラウェシ島マリノ村
◇実施期間 2012年4月1日から継続中

◇従事者 アロイシウス・シタミ/AMDA本部職員、田中俊輔/AMDA本部職員ほか

◇事業内容
AMDAフードプログラムは「食は命の源」をコンセプトにアジアに有機農業を普及することを目的に、2011年から始めた事業である。岡山県真庭郡新庄村野土路地区にAMDA農場を開設し、あひるを使った農薬を有機稲作栽培を中心とした農業を実施している。

新庄村AMDA野土路農場


インドネシア大使館を訪問し野土路米を贈呈

新庄村野土路地区にある「AMDA野土路農場」は、アジアへの有機農業の普及・啓発を目的に2012年から始まった取り組み。無農薬でコシヒカリなどの米と野菜を栽培している。

5月31日にはAMDAスタッフがヒメノモチの苗を手で植える昔ながらの田植えを実施。新庄村の民謡同好会有志の皆さんが三味線と太鼓の音に合わせ田植え歌で雰囲気を盛り上げた。

6月4日には新庄村保育所の園児22人がアヒルのヒナ60羽を田んぼに放す進水式を実施。園児たちは「しかり虫や草を食べてね」と願っていた。

収穫祭は9月26日に行われ、JR岡山駅西口を出発した参加者は農場に到着後、さっそく鎌で稲刈りに挑戦。有機農業サポートセンターにバスで移動し、バーベキュー料理に舌鼓を打った。じゃんけん大会やギター演奏、うらじゃ踊りもあり、参加者は秋の一日を満喫した。

AMDAはプロジェクト関係国の在日公館を表敬訪問し、新庄村の農場で採れた農産物(無農薬米と餅)を贈呈した。12月21日に訪れたインドネシア大使館ではダデン・グナワン農業担当官が応対。有機農業技術のアジアへの普及を目指すAMDAフードプログラムに強い関心を寄せ、「農産物を食べたら感想を連絡する。岡山に視察に行ってみたい」と話された。

インドネシア スラウエシ島 マリノ村


マリノ村での活動の様子

現地農家の生産向上や生産量増加のため、スラウエシ島マリノ村バトゥラピシ地区で有機農業普及プロジェクトを実施している。

バトゥラピシ地区は高地にあり、多くが棚田のため大きなトラクターが入れず、人力や牛で耕作している。生産性が低く、経済的に貧しくて学校に通えない子どもたちがいる。

そこでAMDAは2013年、マリノ村から有機農業の研修生2人をAMDA野土路農場(岡山県真庭郡新庄村)に招いた。2人は有機農業の実践をマリノ村に開所。その後、AMDA本部職員が5回にわたりマリノ村を訪問、フォローアップ研修を継続している。

2015年2月2日から5日には、職員が再びマリノ村を訪問。プロジェクトのモニタリングを行った。その結果、新たに6人が有機栽培に挑戦したい希望を持っていることが分かった。

この活動の広がりは生活向上だけでなく、インドネシアの自然環境を守ることにもつながるメリットがあり、AMDAは今後も支援活動を継続していく。

 

インドネシア口唇口蓋裂無料手術事業


手術を行う医療チーム

◇実施場所 インドネシア 東スラウェシ島パレパレ市
◇実施期間 2015年5月28日〜30日

◇派遣者 ニティアン・ヴィーラヴァーグ(調整員)、台湾IHA(医師5名、看護師3名、その他2名)
◇現地事業チーム構成 アムダ本部調整員、台湾IHAチーム、現地セレベス・クレフトセンター・チーム(形成外科医6名)

◇受益者数 30名

◇事業内容
2015年5月28日〜30日、AMDAインドネシア支部、セレベス・クレフトセンター、台湾IHAと共同で、インドネシア・パレパレ市の病院で、無料口唇口蓋裂手術を実施した。

パレパレ市は遠隔地であるため十分な医療が不足しており、口唇口蓋裂手術に対する需要が高かった。医師や看護師ら合同医療スタッフ17人がチームを編成し、2日間で30人(男性10人、女性20人)の手術を行った。年齢別では14〜27歳が7人、生後6カ月〜9歳が23人で、地元の市長から感謝の盾をいただいた。

AMDAと台湾IHAはこれまで、スリランカやトルコで白内障無料手術、歯科診療プログラムなどを実施しており、今回は5回目となる合同医療支援事業となった。

◇受益者の声 活動場所として手術室3部屋を提供してくださったアンディマカッサウ病院の院長、副委員長からは、無料口唇口蓋裂手術ミッションに対して大変感謝された。

◇現地協力機関 セレベス・クレフトセンター(AMDAインドネシア)

 

カンボジア健康啓発事業


エイズ撲滅を訴え街頭行進をする学生ら

◇実施場所 カンボジア、プノンペン、コンポンスプー
◇実施期間 2015年4月1日から継続中

◇現地事業チーム構成 AMDAカンボジア、現地教育機関

◇受益者数 13,126人

◇事業内容
AMDAカンボジア支部は2014年に続き、エイズとマラリア予防ならびに、スポーツプロジェクトの3つの事業を実施した。

エイズプロジェクト

基礎知識普及のためのパンフレットとTシャツを作成し、5大学、6高校に配布した。世界エイズデーには?新たな感染ゼロ?差別のゼロ?エイズ関連死ゼロ―をスローガンに活動を実施。カンボジア政府が打ち出している「2020年までに国内からエイズ撲滅」という目標に貢献した。

マラリア予防プロジェクト

地域の啓発ボランティアとマラリアに対応が可能なヘルススタッフの育成、健康教育普及活動、AMDAスタッフによる活動の見守りなどを行った。特に健康教育では、正しい蚊帳の使用やマラリア知識の指導方法、マラリア罹患調査方法などを指導した。

スポーツプロジェクト

健康増進、心身鍛錬を目的にサッカーチームを結成。麻薬、暴力より、スポーツを!をスローガンに月に2回、日曜日の朝にボランティアスタッフと若年層が集まってスポーツプログラムとして実施し、同時に健康教育と基本的なHIV/AIDS防止教育を行っている。

◇受益者の声、若年層を中心に成功モデルとして継続して健康増進事業を行っていることを心から感謝している。

◇現地協力機関 トボンクムン州保健局、グローバルファンド、

 

モンゴル国視能訓練技術移転プラン事業


眼科検診風景

◇実施場所 モンゴル、ウランバートル、ブルガン県
◇実施期間 8月28日から9月6日

◇派遣者 川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科、視能矯正専攻教授 高裕子、視能訓練士協会 守田好江、AMDA 難波 妙
◇現地事業チーム構成 眼科医6名、内科医1名、視能訓練士2名、検眼士2名、調整員3名

◇受益者数 285人

◇事業内容
AMDAは2010年から毎年モンゴルへ日本から専門家を派遣、子どもの目の健康に焦点をあてたセミナーや健診などの事業を実施している。今年で6回目となる今回は8月26日から3日間、眼科専門医師、技術者を派遣して視能訓練技術移転事業を行った。

以前から懸案となっていた郊外を中心に310人を健診した結果、子どもの8%が眼鏡を使用すれば視力が回復する状態、12%が眼科受診が必要な状況だった。健診を受けた子どもの保護者は「日本からわざわざ来てくださって心から感謝している」「保護者自らが無責任さに気づかされる機会となった。ありがとうございます」との言葉をいただいた。

今後はモンゴル国内において子どもの眼科健診を学校保健の一環とするよう行政、教育委員会、PTA、眼科協会全体での啓発が必要と考えている。このため今後、パネルディスカッションを通し、社会全体で関心を高める必要性を訴えていく予定。本事業は、岡山県国際貢献ローカル・トゥ・ローカル技術移転事業の助成を受けている。

◇受益者の声 日本からわざわざ来て、娘の目をみていただきとても感謝しています。

◇現地協力機関 モンゴル眼科協会、City Optic、 AMDAモンゴリア、アイリスツアーズ、

 

AMDAピースクリニック


妊産婦を戸別訪問

◇実施場所 インド国ビハール州ブッダガヤ
◇実施期間 2009年11月から継続中

◇派遣者 ニティアン・ヴィーラヴァーゲ他、現地雇用スタッフにより運営
◇現地事業チーム構成 組織管理者1名、看護師1名、事務員1名(計3人)

◇受益者数 のべ348人

◇事業内容
2009年、インドで最貧といわれるビハール州ブッダガヤに開院した。開院以来、ブッダガヤでヘルスケアと生活支援を実施し、妊婦の訪問健診などを行っている。その中で、単なる健康支援ではなく、包括的なプライマリ・ヘルスケア(PHC)の必要性が明らかになっことから、母子健康事業に加えて、2014年度から歯科医師による歯科
健診を始め、15年度も継続実施している。

◇現地協力機関 Bodai Isshinji Trust, Bodhgaya

 

パキスタン家庭教育プログラム


未婚女性を集めて現地調査を実施

◇実施場所 パキスタン シンド州タッタ県ミールプルサクロテシル(Mir Pur Sakro Teshil)サクプール(Sukhpur)地区
◇実施期間 2014年7月から継続中

◇受益者数 (2015年4月〜2016年3月まで)543人

◇事業内容
日本の学校で行われているような健康教育を受ける機会がないパキスタンの僻地に住む未婚女性を対象とした「パキスタン家庭教育プログラム」は、AMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、現地NGOであるNRSP(National Rural Support Programme)の3者合同で実施している。

2013年9月に、AMDAがパキスタンにおけるポリオ撲滅活動の事前調査を行い、2014年1月には、AMDA、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、NRSPによる第2回目の事前調査が行われた。その事前調査の結果、家族の健康管理において中心的役割を担っている女性に対して、ポリオに関する教育を含む健康教育の必要性があることが判明した。家族計画、妊産婦管理や新生児ケアなどの知識は、結婚前に知っておく必要があるため対象は未婚女性としている。

2015年3月から実際に始まった未婚女性に対する健康教育の研修は、2015年5月時点で、124人の未婚女性からなる6つのグループに対して行われ、104人が研修後に行われるテストに合格した。今後も、茅ヶ崎中央ロータリークラブ、AMDAとNRSPは協力して、地域の健康向上を目標に未婚女性に対する研修を継続し、合計1,440人の未婚女性が研修を受ける予定。

◇受益者の声 「私たちは健康の重要性も含めあまり知りませんでした。健康や衛生にあまり気を配ったことが無かったです。日常的に石鹸を使う習慣も無かったですし、手洗い、歯磨きでさえ習慣づいていませんでした。」「このプログラムはとても自分たちのためになっています。自分の周りの衛生や環境衛生に関心を持つようになりました。」

◇現地協力機関 National Rural Support Programme (NRSP)

 

白内障手術クリニック事業


◇実施場所 インド ナグプール、バンダラ県、
◇実施期間 2014年7月から2015年7月

◇現地事業チーム構成 マハトメ病院眼科医グループ

◇受益者数 82名

◇事業内容
一隅を照らす運動総本部のご協力で、2014年からPMS パンニャ・メッタ・サンガ、AMDA合同事業3か年計画として白内障手術事業を行っており、今回で2年目となる。これは、インドですでに慈善事業の実績をもつPMSパンニャメッタ・サンガが中心となり、ナグプール、マハトメ病院の眼科医とともにインド ナグプールやその近郊の村のお年寄りを対象に白内障手術が必要なお年寄りのスクリーニングから手術、術後のケアーまでを一貫して実施するものである。2014年7月以降9月、2015年4月、5月、7月に行われ、受診できた方々275名のうち82名が白内障手術を受けた。

◇現地協力団体 PMSパンニャメッタサンガ