スリランカ洪水・地滑り災害緊急支援(2016/7発行ジャーナル夏号) – AMDA(アムダ)
救える命があればどこまでも
特定非営利活動法人アムダ
国連経済社会理事会総合協議資格NGO

スリランカ洪水・地滑り災害緊急支援(2016/7発行ジャーナル夏号)

5月半ばにスリランカ全土を覆った低気圧が発生。主要な河川の水位が上昇し、特にコロンボなど西部・中部の各地で洪水や地滑りが起きました。5月末までの死者数は100人を超え、行方不明者も依然として多く、当局は被災者が全国で約25万人に上るとしています。

AMDAは2002年以来スリランカで活動しています。

児童に通学カバンを寄付


児童に通学カバンを贈呈する

6月2日にAMDA本部は調整員がコロンボ入りし、スリランカ支部に合流。支援の一段階として、スリランカ支部とSt. John Ambulance、ライオンズクラブ・ネガンボ支部が中心となって、被災地域にある学校に寄付などを行いました。コロンボから約20キロ離れたマルワナの小学校では、1年から5年まで136人が通っており、AMDAは全校児童に通学カバンを寄付しました。子供たちはカラフルなカバンを見せ合うなど大喜びの様子でした。

劣悪な環境の中で無料診療


無料診療を行う菅波代表(右)

第二段階として、AMDAはスリランカ支部、同国保健省と協力して、コロンボ郊外のコロンナワ村で無料診療を行いました。現地にある仏教寺院のご住職によると、被災時の生活状況は劣悪で、外部からの支援はほとんど入ってこなかったといいます。今回、立正佼成会一食平和基金との合同事業により、現地のニーズに合わせた迅速な支援が実現しました。

無料診療は6月20日に行われました。AMDAグループの菅波茂代表をはじめ、スリランカ支部長とそのスタッフ、地元の公衆衛生監視員3人、医師4人、コロンナワ村の保健局から薬剤師兼看護師2人からなるチームに加えて、会場となった地元の仏教寺院からボランティア数人が参加しました。この日、診察に訪れたのは320人(子ども58人を含む)で、内訳は女性が218人、男性が102人でした。主な症状はかぜ、皮膚疾患、ぜんそく、寄生虫、尿路感染症、高血圧、嘔吐、上気道感染症、外傷などで、一部の子供達には下痢と胃腸感染症が見られました。

デング熱防止へ蚊帳配布


蚊帳を贈呈する菅波代表(左)

災害発生から1カ月以上が経過した現在も、村内では瓦礫が残っており、水が引いていない箇所も目につきました。蚊の発生やデング熱の状況、ならびに地元の公衆衛生監視員の助言もあり、AMDAは蚊帳を配布することを決定。菅波代表が約70組をコロンナワ村の人達に渡し、別途100組をウェランピティヤで被災した人々に配りました。地元の学校や医療機関、地域の女性リーダー達に救急箱20個も配布しました。その際、公衆衛生監視員が学校や女性リーダー達に応急処置のトレーニングをしました。

今回の緊急救援活動には、立正佼成会一食平和基金のご支援をいただきました。無料診療の会場となった仏教寺院のご住職は今回の支援に謝意を表し、菅波代表も一同を代表して寺院の方々、当局関係者に謝辞を述べました。

■AMDAからの派遣/菅波 茂 医師/ニティアン・ヴィーラヴァーグ 調整員